今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、『こちらあみ子』。
小説家の今村夏子が鮮やかに描く少女・あみ子の世界。風変わりで純粋なあみ子の魂が心を激しく揺さぶる作品です。
『こちらあみ子』
著者:今村夏子
出版社:筑摩書房
おーとーせよ。おーとーせよ。こちらあみ子。あみ子は交信する。やさしい兄に呼びかける。10歳の誕生日に父からもらったおもちゃのトランシーバーで。
登校するかどうかはその日の気分次第。給食のカレーライスは手で食べる。あみ子は少し風変わりな女の子、ということばだけではくくれない。
そんなあみ子が熱愛するのり君は、母の書道教室の生徒だった。母から教室への立ち入りを禁じられていたあみ子は、襖の陰からのり君を見つけたのだった。
あみ子はのり君と交信したかった。もうすぐ生まれてくる赤ちゃんとスパイごっこをしたかった。しかし、突拍子もないあみ子のふるまいは次第に家族やまわりの人々の心をかき乱していく……。
何ものにも縛られない自由な心だからいけないの? 純粋すぎるとみんな壊れてしまうの? 一途な愛とはこういうものなの?
この小説を読む前とあとでは確実になにかが変わる気がします。切なすぎる愛に心がかきむしられるようです。でも、あみ子は意に介さない。いつだってにっこり笑ってる。前歯のない口をイーッと広げて。
Love, まっこリ〜ナ
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