今日のカフェボンボンは、『いちばんここに似合う人』。
孤独な心をむき出しにする16の物語。カンヌ国際映画祭で新人賞を受賞した女性監督、ミランダ・ジュライの小説集です。
『いちばんここに似合う人』
著者:ミランダ・ジュライ/訳:岸本佐和子
出版社:新潮社
物語の主人公たちは、かなりぱっとしない状況にいる。ひとりぼっちでさびしい。誰かのぬくもりを欲しているけれど、どうにも見当違な人を求めてしまう。
英国のウィリアム王子への妄想を募らせる、近所の見知らぬ男の子との触れ合いを求める、昔のボーイフレンドの子どもに特別な愛情を注ぐ……。孤独感が切実であればあるほど、簡単には手の届かない人を選んでしまうのかもしれない。
「水泳チーム」は、海も川も湖もプールもない土地で、老人たちに水泳を教える若い娘マリアの話。アパートのキッチンの床に転がって、ヤケになったみたいに足をバタバタさせて。床が抜けそうなすさまじいバタフライ。机の上からベッドへの飛び込み!
はたから見れば、どうしようもなく滑稽なシチュエーション。でも……、さえなくたっていいじゃない?
元気なかけ声に励まされ、太陽のきらめきや水の冷たさまで感じられるなら。マリアと老人たちの魂が触れ合う瞬間、くすんでいた日常が輝くのなら。
本書はフランク・オコナー国際短編賞を受賞。生々しく強烈な16編「共同パティオ」「わたしはドアにキスをする」「ラム・キエンの男の子」などを収録しています。
Love, まっこリ〜ナ
*朝読書のすすめ『まっこリ~ナのCafe BonBon』連載一覧はこちらです。
https://asajikan.jp/topics/cafebonbon/
朝読書のすすめ『まっこリ~ナのCafe BonBon』はこちら>>