今日のカフェボンボンは、『暗いブティック通り』。
2014年ノーベル文学賞を受賞した、フランスの作家パトリック・モディアノの代表作。韓流ドラマ『冬のソナタ』の原作者に大きな影響を与えた作品です。
『暗いブティック通り』
著者:パトリック・モディアノ/訳:平岡篤頼
出版社:白水社
暗いブティック通りというタイトルから、どこか古い都市の少しさびれた街路を思い浮かべる。一度入り込んだら明るい通りに出られない、迷路のような道。
表題が暗示するように、主人公はパリの街をさまよい歩く。語り手の〈私〉はギー・モランと呼ばれているが本名は知らない。これは記憶をなくした男、人生で迷子になってしまった男の物語なのだ。
“私は何者でもない。”ギーはパリの私立探偵事務所を辞め、自分の足跡をたどる旅へ出る。旅の途中、ギーが庭園につくられた迷路に入る場面は象徴的。
庭園と迷宮。現在と過去が交錯するミステリアスな雰囲気は、アラン・ロブ=グリエ原作の映画『去年マリエンバードで』を思わせる。こちらも記憶が鍵となる物語。どこかつながりを感じます。
2015年もカフェボンボンのキーワードは「旅」。若き日のモディアノが書いた旅の物語を堪能してください。
Love, まっこリ〜ナ