今日のカフェボンボンは、吉行淳之介の短編集を。
12篇を選んだのは、長年の伴侶であった宮城まり子さん。愛の表現が一冊の本になりました。
『宮城まり子が選ぶ 吉行淳之介短編集』
著者:吉行淳之介/編者:宮城まり子
出版社:ポプラ社
久しぶりに読む吉行淳之介の小説は鮮烈だった。私も少し大人になって、吉行作品の本当の面白さがわかってきたのかもしれない。
いつしか本気で娼婦を愛する男の心情を描いた『驟雨』。ラスト近く、ふたりが迎えた朝の光景が強く心に残る。朝の光に彼女が暴き出されるのを企む男と、まぶしさに反射的に掌で顔を覆った女。そのとき、窓の外のニセアカシアの木が一斉に激しく落葉する。それはまるで緑色の驟雨のようだった……。
宮城さんが「序にかえて」に記した一文。“淳之介さん、受けとって下さい。そして、私が選ぶなんてことしたこと、ゆるして下さい。”
この本は愛の証。ひとりの男への深い愛と尊敬の念が強く伝わってきます。
素敵な日本文学と出会える本。
真っ赤な装丁も印象的です。
Love, まっこリ〜ナ