今日のカフェボンボンは、川端康成の『夕映え少女』。女の微妙な心理を描きつくした7つの傑作短編集。淡い色の乙女チックなカバーが作品に似合います。
少女たちの繊細な心理が巧みに描かれた川端康成の世界。可愛らしい装丁とともに「文学少女」の気持ちを味わった。
私がいちばん好きなのは、二組の夫婦の心理を描いた『正月三ヶ日』。友人同士が妻を連れて伊豆に正月旅行をするが、二夫婦がひと部屋に泊まる羽目になる。
妻たちのあけすけなおしゃべりに夫は圧倒され、その言動がそれぞれの夫婦の関係に微妙な変化をもたらす。だんだん「放埒な喜び」まで湧いてくる。夫が友人の奔放な妻にそっと向ける眼差しを見て、激情が込み上げる女ごころが切ない。
これは文学少女の気分だけでは味わえない、大人だからこそ面白さと哀しさもわかる作品だと思う。
海辺の保養地を舞台にした表題作のほか、『むすめごころ』『童謡』など初期の傑作を収めています。
『夕映え少女』
著者:川端康成
出版社:新風舎
Love, まっこリ〜ナ
***
「まっこリ~ナのカフェボンボン」を読んでくださってありがとうございます。「カフェボンボン」が心ときめく本との出会いの場となりますように。
*朝読書のすすめ『まっこリ~ナのCafe BonBon』連載一覧はこちらです。
https://asajikan.jp/topics/cafebonbon/
朝読書のすすめ『まっこリ~ナのCafe BonBon』はこちら>>