[あしたの朝ごはん]第44話:常連客のキャリアウーマン

(この物語のあらすじ)

フリーライターの莉子は、店主のハルコさんおいしい朝ごはんを作る「カフェ あした」の常連客。東京から遠く離れた架空の小さな街・夢野市で、愉快な人びとや魅力的な食材が出会って生まれる数々の出来事。

そんな日常の中で、主人公の莉子が夢をかなえる鍵を見つけていきます。第7週は「ピンチはチャンス?!」。

第44話:常連客のキャリアウーマン

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(第7週:ピンチはチャンス?!)

思い出そうと考え込むも、買い物袋が指に食い込んで重い。特売品の夢野産米を買ったのだ。

いったん家に荷物を置きに戻ることにする。

自転車かごに積んだ食べ物の重みを感じながらペダルをこぐと、なんとなく幸せな気持ちになる。

「おはようございます」

カフェあしたに着いてさっき笹野商店で見かけた女性の正体が分かった。

新聞を広げて読んでいる姿は、たまに見かける常連客だった。

いつも難しそうな顔をして新聞や文庫本を広げる女性は印象に残っていた。だけど、忙しそうに食べて出て行くから、話をするような機会はもちろんなかった。

「今日はいつもよりゆっくりね」

とハルコさんが言う。

「笹野商店に行ってきたんです。そうそう、わたし、ホームページ作っちゃいました。その名もhatanoriko.comですよ」

なんだかんだでウエブ事情に詳しい明くんに、ホームページの作り方を教えてもらった。

われながらシンプルかつおしゃれにできた。ブログも更新できるし、東京の編集者まで売り込みに行く必要もない。

これで仕事がバンバン舞い込んでこないかなあ。もうちょっと地道に営業活動をしてみよう。

〈野菜と卵のサンドイッチ、そらまめのポタージュ、採れたてイチゴ〉

ハルコさんが食パンの耳を切り落としてサンドウィッチを作っている。

「その耳って、捨てちゃうんですか?」

ハルコさんが手を止めずに言う。

「もったいないから何か工夫して使えないかなとは思ってるけど」

「あのう、良かったら、わたし、もらってもいいですか」

「もちろん、いいわよ。わたしだけでは食べきれないし。パンの耳っておいしいのよねえ。ラスクにしてもいいし、フレンチトーストにしてもいいし」

笑われるかと不安だったけれど、温かいハルコさんの言葉にすくわれる。

最近、節約を意識せざるをえない。

えいやっと勢い良く会社を辞めてフリーになったものの、安穏としていられたのは3ヶ月ほどだった。

収入がないのに、支出ばかりが続けば、手持ちのお金が減っていくのは当たり前のことだ。

(明日の朝につづく)

今日のおすすめ記事「耳を落とさずボリューミーに!簡単ホットサンド8選」

(ストーリーに関連するおすすめレシピや記事をご紹介します♪)

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今日のハルコさんの朝ごはんは、卵のサンドイッチ。もしハルコさんが関西出身なら、パンの耳は落とさずに作るのかなぁ…そんなことを想像しながら小説を読むのも、楽しいですよね。

節約中の莉子におすすめ!まわりを閉じるから、普通のサンドイッチよりも具材が自由にたっぷり詰められて、ボリュームたっぷりの一皿になる、ホットサンドのレシピをたっぷりご紹介しますよー♪

ボリューミー!簡単ホットサンド8選はこちら♪ >>

(この小説は毎朝4時更新です。続きはまた明日!)

★この物語の登場人物
波多野莉子(はたの りこ)・・・一人暮らしのフリーライター。30歳。夢野市で生まれ育つ。
ハルコ・・・朝ごはんだけを出す「カフェ あした」の店主。34歳。莉子に慕われている。

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朝の小説「あしたの朝ごはん」

毎朝更新。朝ごはんがおいしいカフェを舞台に、主人公が夢をかなえていく日常をつづるストーリー。
Written by

松藤 波

松藤波(まつふじ・なみ)
小説好きが高じて、家事のかたわら創作をする30代の主婦。好きな作家は田辺聖子、角田光代。家族がまだ起きてこない朝、ゆっくりお茶を飲みながら執筆するのが幸せなひととき。趣味は読書と、おいしいランチの店を探すこと。

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