[あしたの朝ごはん]第22話:いまどきの子ども

 

(この物語のあらすじ)

フリーライターの莉子は、店主のハルコさんおいしい朝ごはんを作る「カフェ あした」の常連客。東京から遠く離れた架空の小さな街・夢野市で、愉快な人びとや魅力的な食材が出会って生まれる数々の出来事。

そんな日常の中で、主人公の莉子が夢をかなえる鍵を見つけていきます。今日からはじまる第4週は「あなたの夢はなに?」。

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第22話:いまどきの子ども

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(第4週:あなたの夢はなに?)

ハルコさんが厨房の奥から取り出してきた食材をボールに入れて、心地よいリズムでかき混ぜている。

ダイエットに向いている料理、って何を作っているんだろう?

キンキンと耳につく声が重なり合うようにして入り口になだれこんできた。

「いたたた、なにするのよ。もう、先に帰るって言ってるでしょ」

ふくれっつらをした女の子の背中を、由美がつつくようにして入ってきた。

「んもう、この意地っ張り。誰に似たのかしら」

大きな瞳も顔の輪郭も2人はそっくり。ひと目で母と娘だとわかる。ははん、これがうわさの生意気ざかりの小学校4年生か。

「遥、あいさつしなさい。ママの高校時代の同級生の莉子さん」

高い位置で結んだポニーテールを水玉のシュシュでとめている。丈の短いピンク色のTシャツに、デニム素材でできたフリルのミニスカート。小枝のように細長い足がまっすぐに伸びている。

色っぽさはないけど、つるつるして見える健康的な肌に目を奪われてしまう。水色のランドセルがなければ、中学生、いや、高校生と見間違えるかもしれない。

「こんにちは。いらっしゃいませ。待ってたわよ。座っててね」

ハルコさんがフライパンを片手に言った。鉄製のみるからに重たそうな、ずしりとしたフライパンだ。レトロな持ち手に、使い込まれた年季がにじみ出ている。

遥ちゃんはハルコさんを見ると、急におとなしくなって由美の後ろに隠れた。

観念したようでもあり、ハルコさんの温かい空気に包み込まれて、勢いをそがれたようでもある。

「ご心配をおかけしました。お待たせしてごめんね」

由美がわたしとハルコさんに頭を下げる。遥ちゃんは恥ずかしそうにうつむいた。

「遥ちゃん、大きくなったね。赤ちゃんのとき会って以来だから。初めまして、みたいなものね」

わたしが話しかけると、遥ちゃんはちらっとこちらを見て意味ありげに笑った。

「わたし、莉子さんのこと覚えてますよ。ていうか、ママの高校時代の写真で見た」

「高校時代の? いやだなあ。恥ずかしい。太ったでしょ、わたし」

「そんなことないですよ。昔の高校生って、なんでみんなあんなにボーチョーしてるんですかね」

遥ちゃんはこらえきれないとばかりに舌を出して、愉快そうに笑った。

「こら、遥。あんたはいつも余計なことを言うんだから」

由美が口をへの字に曲げて、遥ちゃんをにらみつける。

「膨張?そう言われると、否定できないなあ。わたしたちのころは、自撮り棒とかなかったからねえ。小顔に見える撮り方とか、全然知らなかったからさ。膨張、ねえ」

言葉に詰まりながらも、愛想笑いをするよりほかないわたしだった。

(明日の朝につづく)

今日のおすすめレシピ「フライパンでもOK♪15分で簡単トマト缶リゾット」

(ストーリーに関連するおすすめレシピや記事をご紹介します♪)

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ハルコさんは鉄製のフライパンで、遥のために「何か」を作っていますが、いま大人気の鉄の鍋といえば「スキレット」。調理したままテーブルに出せる便利さは、朝ごはんにぴったりですよね。

そんなスキレットをつかって15分で簡単にできちゃう、トマトリゾットをご紹介します♪もちろんフライパンでもOK!

簡単朝ごはん!即席15分☆トマト缶リゾットで「ブーケファスト」*スキレット朝食」(by:まぎーえみりーさん)

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(この小説は毎朝4時更新です。続きはまた明日!)

★この物語の登場人物
波多野莉子(はたの りこ)・・・一人暮らしのフリーライター。30歳。夢野市で生まれ育つ。
ハルコ・・・朝ごはんだけを出す「カフェ あした」の店主。34歳。莉子に慕われている。

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朝の小説「あしたの朝ごはん」

毎朝更新。朝ごはんがおいしいカフェを舞台に、主人公が夢をかなえていく日常をつづるストーリー。
Written by

松藤 波

松藤波(まつふじ・なみ)
小説好きが高じて、家事のかたわら創作をする30代の主婦。好きな作家は田辺聖子、角田光代。家族がまだ起きてこない朝、ゆっくりお茶を飲みながら執筆するのが幸せなひととき。趣味は読書と、おいしいランチの店を探すこと。

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