今日のカフェボンボンの本棚は、『夜中の薔薇』。
美味しいもの、旅の記憶、男と女、自身の生き方、病いのこと、日々の暮らし。心の機微にふれる文章が胸に迫ります。向田邦子が遺した最後のエッセイ集、新装版です。
『新装版 夜中の薔薇』
著者:向田邦子
出版社:講談社
著者が子どもの頃、ワインはまだ葡萄酒だった。赤ワインをほんの少し飲み、足袋を脱いで笑い上戸になったお母さん。子どもたちは「そういう母を、ちょっと綺麗だなと思い、浮き浮きした気分で」見ていた。
やがて葡萄酒はワインとなったけれど、赤い液体の妖しさにまだ固くなってしまう。そんな向田さんは、いくら飲んでも美しい酒のひとだったそうです。
外国から帰ってまっ先に作るのはきまって海苔弁。それから肉のしょうが煮と塩焼き卵。このおかずの原点は子どもの時分のお弁当……。
ひとりの食卓にももてなしの手料理にも、懐かしさとせつなさが入り混じる。最後の晩餐に食べたいごちそうもじつに著者らしいのです。
向田邦子の「朝時間」は、おみおつけの実を刻む母の包丁の音。リズミカルな音のあとにはかつお節の匂いと味噌の香りのする朝です。
Love, まっこリ〜ナ
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