本日のカフェボンボンのおすすめは、『私の台所』。
女優・沢村貞子の名エッセイをお届けします。明治おんなの心意気を感じる一冊です。
『私の台所』
著者:沢村貞子
出版社:講談社
「大ぜいの人にまじって仕事をすれば、とかく心にしこりが出来やすい。そんなとき、帰るとすぐ着物をきかえ、タスキ前かけ姿で台所に立つ。」
包丁を握ればストレスも解消。野菜をリズミカルに刻むのが私の気晴らし……。さまざまな役を演じ分けた名脇役の、歯切れのいい下町言葉が聞こえてきます。
日々の暮らしを大切にていねいに。最近このような生活スタイルが見直されていますが、これこそ本書につづられている沢村さんの生き方そのものなんです。
たとえば、撮影で遅くなる日には、手製のお弁当をこしらえていく。夏の夕方、ぬるめのお風呂でサッパリ身体を洗ったあと、気軽な浴衣がけで天ぷらを揚げれば、一日の疲れもとれるとご主人に喜ばれる。それが家庭の天ぷらの味というもの。
沢村貞子さんの「朝時間」は、“おみおつけ”(お味噌汁)を心をこめて作る朝ごはん。
御御御つけと書いておみおつけ。沢村さんが育った東京の下町の女性たちは、美味しいおみおつけを作ろうと一生懸命だったそうです。私も小さい頃、お味噌汁のことを“おみおつけ”と呼んでいました。亡くなった祖母のおみおつけと言う声を懐かしく思い出します。
沢村さんの愛した「こざっぱりした暮らし」を少しでも見習うことができたなら。本のお供には、沢村さんがおやつによく作った大学芋はいかがですか。
敬老の日に。
Love, まっこリ〜ナ
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