(この物語は…毎朝のヨガ習慣をはじめてから108日目を迎えた、ヨガが好きなOL 紗季に、久々に起こる、恋と仕事の変化。朝のヨガスタジオで巻き起こる男女のハートフルなラブストーリー。小説のストーリーに合わせ、毎週おすすめヨガポーズをご紹介します。
Week 5は、主人公である紗季との交際をスタートさせた優斗の視点でストーリーが展開します!)
Vol.29 Week 5 「39歳の初恋」 (1)39歳から始まるジェットコースターのような恋
「2016年、大きな勝負の年になるでしょう。」
占いなんて信じていないのに、今日だけはこの結果の続きを聞きたくなり、続きを読んでしまった。僕は2016年30代最後の年39歳を迎える。
2015年の僕に、少しの変化があった。
元同僚のアレックスが開いた小さなヨガスタジオに不覚にも癒された。ヨガの効果には期待していなかったが、朝に爽やかな気持ちのひとたちに貯まっていた猜疑心を洗われたような気持ちになり、素直で瑞々しい感性を少し思い出した。
メンバーの、紗季という女性の表情に吸い込まれた。
きっと、昔の僕ならば、コロコロと表情を変え、華やかな笑顔とすねるとかわいい口元を持つ、しおりの方をなんとかしようとしたことだろう。
一方紗季には、少し影があり、笑顔を多く見せることはない。大勢で話すときは、少し無理を思わせる笑顔で、ときに本当に穏やかな顔を見せる。それが、ヨガスタジオにいても、大人の女性の憂いを感じさせるのだ。
「優斗さん、わたし、不器用なんですが、それでもよろしければ。よろしくお願いいたします」
年甲斐もなく、今日は口元が緩む。
ヨガウェアをまとっている時以外のこの人を知りたいと思った。
こんな純粋な気持ち20年ぶりかもしれない。想いが通じるかは賭けだったが、そんな勝負勘を捨てて、気持ちだけで勝負したのだ。
「紗季さん、今日朝から浮ついた感じですけれど、ミッションクリアですか?」
しおりからの突然のLINEだ。
「あした朝にでも」
オフィスでは、流石にLINEなどできない僕は、軽く返信をした。会話はすぐに終わらせようとしたのだが、
「でもいま」
「紗季さん、肩をふるわせてて。今日の紗季さんジェットコースターみたいです」
僕の平常心を保ちたい気持ちを高ぶらせるのは、しおりの何かしらの意図なのか。僕の方がジェットコースターに乗っている気分だ。しおりの意図がなんなのかすら分析できないほどに、穏やかでいられなくなった。
気になっていることがある。真治という紗季の元恋人らしい人物だ。
僕の気持ちと並行して、2人の中でもなにやら動きがることを僕は察知していた。
そう、こういうことがあるなら、孤独の方が好きだったのだ。
(つづく)
今週のおすすめヨガ「チャイルドポーズ」
Week 5のおすすめは「チャイルドポーズ」。
ヨガでは、お休みや癒しのポーズとしても使われます。それだけ、リラックスすることができるということです。ただ単なるお休みではなく、呼吸を落ち着かせ、内臓を刺激し、力を抜くことができます。
出来るだけ、背中を緩めて自由な背骨を作り、呼吸に注目します。呼吸が整うことで、さらに骨・筋肉ともに動かすことができ、自由な上体を作ることができますよ!苦しい時、休みたい時、朝起きるときにおすすめ。
「チャイルドポーズ」の流れ
- 膝をたて、両膝に均等に体重がかかるようにしまっすぐ立つ。また、足先の親指と親指を重ね合わせておく。
- 両かかとにおしりをおとし、上体はリラックス。この時腰が後に落ちてしまわないように、注意しましょう。息を吐きながら、ゆっくり膝を床の方へ向かって開いていきます。
- 息を吐きながら、上体を前傾します。なるべく前方へ手をひっぱります。
(この小説は毎朝4時更新です。続きはまた明日!)
★この物語の登場人物
新城紗季(しんじょうさき/30歳)プロダクトブランド販売会社のマーケティング部につとめる。この物語の主人公。
アレクサンドル・ハミルトン(アレックス)(38歳)フランス系アメリカ人。ヨガスタジオを経営。
相場優斗(あいばゆうと/38歳)外資系投資銀行の行員。
桜井真治(さくらいしんじ/35歳)紗季と同じ会社でニューヨーク店勤務。紗季の元恋人。
東谷しおり(ひがしやしおり/25歳)ヨガ仲間のひとりで、紗季の会社の事務系OL。