【朝の恋愛小説:あしたの朝、ヨガスタジオで。Vol.27】Week 4(6)鼓動の早さは新しい恋のしるし?

 

(この物語は…毎朝のヨガ習慣をはじめてから108日目を迎えた、ヨガが好きなOL 紗季に、久々に起こる、恋と仕事の変化。朝のヨガスタジオで巻き起こる男女のハートフルなラブストーリー。小説のストーリーに合わせ、毎週おすすめヨガポーズをご紹介します。

Week 4は、ふたたび主人公である紗季の視点でストーリーが展開します!)

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Vol.27 Week 4 「朝ごはんでデートを」 (6)鼓動の早さは新しい恋のしるし?

と優斗さんに見つめられて、わたしは思わず

「よろしくお願いします」

と答えていた。そうだ、そのためにも、真治と決着をつけたんだった。

優斗さんが、ほっとした表情を見せた。これほどの人が、わたしにOKをもらうために、緊張していたと言うの?

「紗季は、気付かないなら気付かないままでいいんだけど、魅力的だから。仕込み結講ぬかりなくやったんだ。真治ってやつも、アレックスも、紗季に気があったんでしょ。気付かないふりして一気にいかないとと思って」

「けどもう決めたんだから、揺るがないように」

「え・・・」

そうして優斗さんは、わたしの頭をなでてすぐに、頬に手をあてる。

予期せぬことに顔が真っ赤になっていると自覚すると、さらに押さえられずに俯いた。

そしてあごを持ち上げられると、年甲斐にもなく肩をすくめてた。

久々にくる鼓動の早さに、息切れしかけた。なんたって、ヨガでいつも精神を落ち着かせ、ゆっくりとした呼吸を心がけているのだ。こんな時、ヨガの効果は発揮できない。

優斗さんの力強い目、仕掛けの早さと緻密さ。

わたしは、このひとにかけてみようって思った。自分を少し変えてくれるかもしれない。自分に少し自信が持てるようになるかもしれない。

そんな期待をするのは、ちょっと怖いのも知っている。好きになればなるほど、終わる時の傷は大きく、次に誰かを好きになるのが怖くなる。

次に、とか言ってる年じゃないのも知っている。もう!人生史上最速のタイミングにまだ自分がついていけなかった。

これが30代の恋愛なのかしら・・・?

急展開についていけず、結局しおりとの新年ランチもキャンセルして、机でおにぎりを頬張っていた。

そのとき目線の先に真治が入り込んできた。

「新城さん、13時からのミーティングだけどリスケOKかな?」

わたしはまだぼうっとしていた。

「朝一で会議キャンセルとリスケ依頼のメール出してるんだけど」

「すいません、いま」

誰も知らないことだろうけど、自分の中で人生史上最大の波乱の仕事初めの日。浮ついている自分が恥ずかしかった。よりによって、真治に仕事のミスを指摘されるとは情けない。

「新城さん、それと個人的な用件で、一昨日LINEしているんだけど、返信くれるとありがたい」

「わ、わかりました」

 

そういえば、キャロル・キングを聴きながら、優斗に返信したとき、真治からもメッセージがきていたことを思い出した。そのときは、何も見たくなかったのだ。

そうだ、あのキャロル・キングは優斗さんと聴くことになるのか。

違和感もなければ、しっくり感もなかった。プレーヤーを買うのはまた今度にしよう、なんとなくそう感じた。

わたしは、早速、会議の日程を変更し、おそるおそるLINEを開いた。

(つづく)

今週のおすすめヨガ「さかなのポーズ」

0801topWeek 4のおすすめは「さかなのポーズ」。

胸を開き、頭皮を刺激するポーズで、固くなりがちな背中を動かし、胸を開くことで呼吸がとても楽になるでしょう。冬の間は、頭皮も乾燥したり、うつむき癖でひっぱられたり、酷使しています。

明日に向かう活力をもらえるポーズです。

「さかなのポーズ」の流れ

  1. 足を腰幅に開き、全身の重みを床に素直に落とします。
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  2. 手を組み、お尻の下におきます。同時に肩も背中の下にしまうイメージで、内側に入れます。
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  3. 胸を天井からつられているイメージで、引っ張り上げます。最後に頭頂部を床につけ静止。
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(この小説は毎朝4時更新です。続きはまた明日!)

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★この物語の登場人物
新城紗季(しんじょうさき/30歳)プロダクトブランド販売会社のマーケティング部につとめる。この物語の主人公。
アレクサンドル・ハミルトン(アレックス)(38歳)フランス系アメリカ人。ヨガスタジオを経営。
相場優斗(あいばゆうと/38歳)外資系投資銀行の行員。
桜井真治(さくらいしんじ/35歳)紗季と同じ会社でニューヨーク店勤務。紗季の元恋人。
東谷しおり(ひがしやしおり/25歳)ヨガ仲間のひとりで、紗季の会社の事務系OL。

 

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朝の小説シリーズ

毎朝読みたい小説シリーズ「やっぱり朝は、二度寝が好き。(完)」「シンデレラの朝ごはん(完)」
Written by

石垣モンブラン

幼少期から創作好きで、3歳児で替え歌発表(笑)、小学時代に学習発表会の脚本、絵本を制作、中学から新体操やダンスの振付をはじめる。現在は、小中学生のミュージカル劇団「リトル・ミュージカル」主宰。台詞をこどもたち全員で創るという他にはないミュージカルの脚本原案、作詞作曲、振付を担当。だけど大人の恋愛模様が大好き。ライトノベルや映像脚本も執筆し続ける。

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