今日のカフェボンボンの本棚は、『わたしのマトカ』。
映画「かもめ食堂」の撮影で滞在したフィンランドの夏。女優の片桐はいりが北欧の人々との心温まる出会いをつづります。
食べることに目がない片桐さん。旅先で真っ先に覚えるのは、飲み食いに関する言葉だという。ビールください。エッグタルトを一個ください。それからいくつものおいしいという言葉。
フィンランド語の「おいしい」はヒューヴァ。市場でヒューヴァ！ おふくろの味にヒューヴァ！！ そうやって、覚えたての言葉と未体験の味をとことん楽しむ。
そのうち、はたと気づく。そういえば、フィンランド語で「愛してる」は何と言うのだろう。ひと月暮らすあいだ一度もその言葉を聞かなかった……。
知らない町での心ときめく小さな冒険や人々との出会いに、片桐さんの大らかな人柄がにじみ出る。遠い異国のエピソードがまるで人情味あふれる下町の出来事のように思えてしかたなかった。
フィンランドの「朝時間」は、ヘルシンキの市場。
山盛りのいちごは野生の味。「ヒューヴァ」が似合う美味しさです。
『わたしのマトカ』
著者：片桐はいり
出版社：幻冬舎
Love, まっこリ〜ナ
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