お元気ですか。写真家の星野道夫さんがアラスカから語りかけてきます。
声はいろいろな場所から届きます。ザトウクジラを追いかける船の上や雪原の広がる氷河の源流から。ときには先住民の村からも。
『旅をする木』
著者:星野道夫
出版社:文藝春秋
アラスカへの憧れを抱いたのは十代の頃。北極圏のエスキモーの村の一枚の写真に魅了された星野さんは、どうしてもこの集落の人々に会いたいと、写真のキャプションに記された村に宛てて手紙を出すのです。半年後、一通の外国郵便が届きます……。アラスカへの強い思いと行動力を示す印象的なエピソードです。
厳しい自然や動物を見つめながら星野さんが思うのは、日々生きていることは、あたりまえのことではなくて、実は奇跡的なのだということ。移り変わる季節の美しさ、カリブーやクマとの出会い、地元の人々との深い交流など、極北の地でのかけがえのない体験を喜びにあふれた言葉で伝えてくれます。
アラスカの「朝時間」は、マッキンレーの裾野からのびる原野。風が冬の匂いを運び、紺碧の空からは秋の渡りをするカナダヅルの声が聞こえてきます。
それではまた。エッセイを締めくくるこの言葉のように、本を開けばいつでも星野さんに出会えます。
朝はもちろん、人恋しいひとりの夜にもおすすめです。本のお供には熱いコーヒーを。アラスカの空を舞うオーロラを思いながら……。
Love, まっこリ〜ナ
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