7時ちょうど。今日の朝は大丈夫だ。雪乃が使っているアプリのめざまし機能「おはようどけい」を使うことにした。
アプリのダウンロードが面倒だと思っていたけど、なんだかかわいいし、アラームに使う曲を変えるだけで、気分が変わることを知った。
丁寧に生きるって大切なことかもしれない。
何より、雪乃と同じものを使っていると思うと少し嬉しい。
お揃いでウキウキする年じゃないはずなのに、やっぱり親友っていいものだな、って思えた。
雪乃からのメッセージが届いた。
「だいぶスッキリ。ありがと」
雪乃のメッセージは相変わらずだ。スタンプだってめったに送って来ない。
分かり合えることなんて少ないのかもしれないけど、やっぱり親友がいて良かった。
雪乃もそうだったらいいな。
あえて、ふなっしーのスタンプを送った。
「今日もがんばるなっしー」
私も、ね。そう思っていつもよりゆっくり着替えをして、「みんなの朝ごはん」の本を取り出した。
そう、きっと一歩を踏み出した時から、何かが変わる。
誰かがスイッチを入れてくれることがあるけど、それでも、自分が行動しなくては、結果は得られない。
（この小説は、毎日更新です。続きはまた明日！）
物語の登場人物
立川萌乃（もえの） 28歳
静岡出身。銀行の一般職。趣味で、フラワーアレンジメントをならう。早起きできる朝美人に憧れている。
新城雪乃（ゆきの） 28歳
萌乃と同じ高校時代からの友人。なんでも出来る格好いい人物として萌乃からは頼りにされている。
藤井倫太郎（りんたろう）28歳
萌乃、雪乃と同じ高校のサッカー部出身で東京の大学へ進み、留学。外資系投資銀行につとめるいわゆるエリート。
木村ことみ 28歳
萌乃の同期で、同じ支店にずっと勤めている。常識人であり現実主義者。
柳原誠士（せいじ）28歳
萌乃とことみの同期入社である、総合職の銀行マン。
近藤裕太（ゆうた）24歳
萌乃がフラワーアレンジメントの教室の隣にあるパーソナルトレーニングスタジオのトレーナー。
