今日のカフェボンボンは、『花の町』。
東京の花の風景を詩と写真でつづる、詩人の田村隆一、写真家の荒木経惟のコラボレーション。都会の真ん中のそこかしこで、花は汚れた空気をものともせずに鮮やかに咲き誇っています。
『花の町』
詩:田村隆一/写真:荒木経惟
出版社:河出書房新社
道のことだったら
猫か
花にたずねるといい
花を見つめる詩人のまなざしは温かい。言葉には町の向こうの遠い空に吸い込まれていくような広がりがある。高層ビルの谷間に揺れる赤いヒナゲシに「自由に生きよ」と呼びかける詩は、遠く「地中海からやってきた」可憐な花にエールを送っているかのようです。
土手に座るセーラー服の女学生は、いつか満開になる花のつぼみ。キッチュな商店街の花飾りや開店祝いの造花さえも都会に咲いた花。春の夜、白い月が満開の桜を圧倒的な美しさに照らし出す。アラーキーが撮る花は甘くもはかなげでもなく、リアルな色そのままで……。
花の町の「朝時間」は、下町の路地裏に咲く花。猫の恋とともに鉢植えのアオイが咲き、夏の花アガパンサスは畳屋の店先に涼しげに花開きます。
おふたりの対談「すべての道は路地に通ず」がまたとても面白いです。花がこんだけ咲いてるうちはまだここいらも捨てたもんじゃねえ。東京で生まれ育った粋な詩人と写真家の、そんな言葉が聞こえた気がします。
Love, まっこリ〜ナ
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