今日のカフェボンボンは、旅へと誘う本の第四弾。
ゲーテやカフカの名翻訳家でドイツ文学者、エッセイストとしても知られる池内紀がつづる旅のエッセイ。ヨーロッパの古い町を巡る、味わい深い旅紀行です。
『町角ものがたり』
著者:池内紀
出版社:白水社
使い慣れた小型トランクとリュックをお供に、ヨーロッパ各国を町から町へ気ままに旅してまわる。ウィーン、プラハ、ルクセンブルク、バーゼル、ミラノ……。訪れた町は30近くにものぼります。
古い歴史の重みと観光地の華やかさの両面を持つヨーロッパの都市。著者は町にゆっくりと滞在し、美しい建築物を眺め、教会の鐘の音を聞きながら、都市のたどった物語に思いをめぐらします。
ゲーテやカフカはもちろん、留学時代の森鴎外の挿話もあり、奥行きが深い。ドイツ文学だから格調高くてとっつきにくいなんてことはありません。異国の人との接し方にも著者の人柄がしのばれる、大らかで楽しいエッセイです。
最後の一編は、ミュンヘンのクリスマス市。クリスマス・イブの町角で、モミの木を売る親子の光景が心に残ります。
ヴェローナの円形劇場、ザルツブルクの時計屋、ワルシャワの動物園前、エーゲ海の騎士の町など27編を収録しています。
Love, まっこリ〜ナ