今日のカフェボンボンは、画家・大竹伸朗のモロッコ旅日記『カスバの男』。
タンジール、アシラ、フェズ、マラケシュ。異国的な名前の街が、彼の文章とスケッチを通して目の前に出現する。暑い、熱い、モロッコの夏です。
『カスバの男 モロッコ旅日記』
著者:大竹伸朗
出版社:集英社
“自然はパーフェクトすぎておもしろくない。”
だから、著者は異国で通りを歩くとゴミ捨て場に目がいき、チューニングの狂った風景に魅かれる。ポスターのはがれ具合の絶妙さに驚き、大音響で街に流れるアラビアン・ポップスに哀愁を感じる。
はためく深紅のモロッコ国旗を、真っ青な空をバックに絵にしたくてたまらなくなる。到着したその足ですぐに街をぶらつくのが旅のスタイル。「一杯のコーヒーを飲んでからではすべてオジャンだ。何かが逃げてしまう」から……。
彼の旅日記にはうねりがあって、即興のジャズ演奏みたい。強い太陽の光から逃れて日陰に入った瞬間クラクラする、あの感じにも似ています。
モロッコの「朝時間」は、タンジールのカフェで。
クーラーのない薄暗い店で飲むミント・ティー。初めての味は強烈。極限に甘く熱いのです。
コラージュやオブジェなど、さまざまな表現を駆使して活躍するアーティストならではの言葉が散りばめられた一冊。銅版画、スケッチ、水彩画、写真を多数収録しています。
Love, まっこリ〜ナ