北京にも、例えば六本木にあるようなお洒落なアート関連の書店があります。
北京で暮らす前は、北京にお洒落なアートスポットなどがあると思っていなかったのですが、いざ暮らしてみると北京のアートシーンもなかなかおもしろいです。
ここは、アート関連の書籍を置く書店。
「漢字」もひとつのアートだと思っている私にとって、
美術書全てに(当然ながら)漢字が使われているので、
なんだか見ているだけで興奮してしまいます。
そして中には、
文化大革命時代の中国を生々しく写した写真集なども。
ほんの少し前まで、
この国では外国の芸術などが入り込めずにいました。
文化大革命の時期、毛沢東の思想を掲げ活動した「紅衛兵」と呼ばれる熱狂的な若者集団がいますが、世界の人は彼らに対し「ビートルズを知らないひとたち」と言ったといいます。
外国芸術どころか、
大学の外国語学科の学生以外は、外国語を喋ること聴くこと、外国語で書かれた新聞を読むことさえも禁止されていました。
そんな中国の、
しかも首都北京で、今では外国の芸術に比較的簡単に触れることができます。
ほんの数十年前では考えられかったことなのです。
中国語にも「享受(シアンショウ)」と言う言葉があります。
「味わい楽しむ」と言う意味で日本語とほぼ同じような意味ですが、
日本語とは違い、日常的に使います。
たとえばこうやって外国のものに触れることも、
ひとつの「享受(シアンショウ)」です。
中国の歴史や思想を学ぶにつれ、
日本では当たり前だったこと、価値観が、
この国ではほんの少し前まで当たり前ではなかったということを色々と知り、
日常でわたしが出会ういろいろなものに対し、
とてつもないスピードで発展したこの国のパワーとその弊害のようなものをその都度考えてしまいます。
北京で暮らす外国人の私にとって、
この国に直に触れ、考える。
それもひとつの「享受(シアンショウ)」なのかもしれません。