今日のカフェボンボンは、よしもとばななの『海のふた』。物語を包みこむ海の気配が体を潤す物語です。
美大を卒業したての「まりちゃん」は、南の島に移住したくて下見の旅をする。島のかき氷屋さんに立ち寄ったことで、運命が動き始める。
ふるさとの西伊豆に戻って、自分でかき氷屋を始めてみよう! そんなとき、お母さんの親友の娘「はじめちゃん」が静養にやってきて……。
「ハイビスカスの花に浮かんでいる透明な水滴みたいにきれいな」雰囲気をもつはじめちゃん。彼女に店を手伝ってもらいながら、そのしんとした静かで強い心に引かれていくのだった。
琉球ガラスの器や、南の島と同じ果汁を使ったメニューが独特で、近くにこんな店があったらきっと毎日通ってしまうだろう。
夢を叶えること。それは毎日の生活のつながりから生まれる。自分が本当にやりたい、愛してることかどうか。
沖縄の版画家・名嘉睦稔さんの作品が、海の底のように美しい。「海のふた」の意味もとても素敵です。
『海のふた』
著者:よしもとばなな
出版社:中央公論新社
(上の写真は単行本。文庫本はこちらです。)
Love, まっこリ〜ナ