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魔法のハンバーグ小説『ジュージュー』

 

今日のカフェボンボンおすすめメニューは、よしもとばななの『ジュージュー』
スパイスがほどよく効いた美味しい小説です。

20120726

ジュージュー
著者:よしもとばなな
出版社:文藝春秋

ステーキとハンバーグの店。名前はジュージュー。ママが亡くなってから、パパと娘の美津子と親戚の進一で切り盛りしている。下町の小さな店に、それぞれの思いを抱えて集う人たちに、美津子はジュージュー音を立てる重い鉄板を運ぶ。お待たせしました。ごゆっくり。パパは常連さんの様子を見て、焼き加減や味つけをほんのちょっとだけ変える。

だからジュージューのハンバーグはいつも絶対に美味しくて、ひと口食べるとみんな嬉しくなって帰っていく。お客さんの笑顔が見えるとき、そこにはママもいる。ジュージューにはミラクルに輝く時間が流れています。

私の町にジュージューがあったなら、家族みんなで繰り出しちゃうのに。夕涼みがてら歩いていくのもいいな!デザートにバニラアイスクリームまで食べて、一歩も動けないくらい満腹になって。ランチには女友だちとビール飲みながらおしゃべりする。想像するだけで楽しくて、現実じゃないことがほんの少しさみしいです。

大切な守るべきお店があるから揺るがない。どんな日にも店で立ち働く美津子を見ていると、何かにせき立てられているような焦りや虚しさが、すうっと溶けていくような気がします。

表紙は漫画家・朝倉世界一さんの『地獄のサラミちゃん』。シビレます! ジュージューという名前も、じつはサラミちゃんにちなんでるの。朝倉世界一さんの作品もカフェボンボンでおすすめしたいので、待っててくださいね。

ジュージューの「朝時間」は、ママの死から立ち直れなかった美津子に、世界の色が戻ってきた朝。心癒される瞬間です。

本のお供には、マグカップのコーヒーを。ジュージューのように、ちょっと薄めでいかがでしょう?

今日のお昼はハンバーグ!
Love, まっこリ〜ナ

 

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Written by

まっこリ〜ナ

編集者・ライター

出版社勤務を経てフリーランスに。図鑑や写真集、子どもの本や雑誌などの編集に携わる。本がくれる愛のチカラを糧に生きる日々。いちばん好きな本の主人公は長くつ下のピッピ。
趣味は草花園芸、編み物、ランニング、スポーツ観戦。

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