今日のカフェボンボンは、『東京飄然』。
作家の町田康が、風に誘われ花に誘われ、旅に出る。
こだわりのスタイルは「飄然」。ふらりふらりと目的なくいかねばならない。
でも、忙しいから基本的に日帰り旅でってとこが、町田康さんらしいです。
『東京飄然』
著者:町田康
出版社:中央公論新社
飄然と家を出た。だけどなかなかうまくいかない。
馴染みのない地下鉄や都電に行き当たりばったりで乗ってはみたものの、暖房と着ぶくれのせいで焦熱地獄に陥ったり、思い描いていたのとはえらくかけ離れた風情のない町に降り立ってしまうのだ。
ちっとも飄然とはいかない自分を反省しつつ、新しい場所への旅がまた始まる。
初めての旅は早稲田へ。鎌倉から江ノ島へ。串カツを求めて梅田から新橋へ、そして銀座へ。
町や店に気をとられ、あれこれ悩んで一喜一憂しながら歩きまわるようすは、江戸時代の青年がタイムスリップして未来のトーキョーに迷い込んじゃった感じ。
最近はあまり聞かない日本語や、チャキチャキの江戸っ子言葉がポンポン出てくるので、よけいにそんな雰囲気がある。著者撮影の写真も多く楽しいです。
町田康の「朝時間」は、飄然と歩いてみたくなった朝。
旅するひとりの男のあとを、すがすがしい風が吹き抜けていきます。
本のお供に、奥田民生の「さすらい」を聴きながら……。
洒落た装丁の単行本もおすすめです。
『東京飄然』
著者:町田康
出版社:中央公論新社
Love, まっこリ〜ナ