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甘くメランコリックな幻想の世界

 

今日のカフェボンボンは、アメリカの詩的幻想小説『西瓜糖の日々』

“西瓜糖の世界”に生きる人々の、奇妙な静けさに満ちた物語。1968年に出版され、当時の若者たちを熱狂させた、リチャード・ブローティガンの傑作です。

20121220

西瓜糖の日々
著者:リチャード・ブローティガン/訳:藤本和子
出版社:河出書房新社

小屋も窓も橋も、何もかもが西瓜糖でできている世界。ランタンを灯す油さえも。

太陽は曜日ごとに違った色で輝き、西瓜畑の西瓜は赤や青、黄金色など7通りの色を持つ。恋人のドレスが西瓜糖の甘い香りを放つ。

ここの中心は、ヒッピーのコミューンのような「アイデス」。一方、荒くれ者が住む〈忘れられた世界〉は、暴力の気配が充満する場所。忘れられた世界の不穏な空気が次第に高まり、平和なアイデスを巻き込んでいく……。

アイデスの完全さはどこかいびつで、7色の太陽の光もひんやりと冷たい。恋人たちの愛にも熱の高まりは感じられない。あきらめと忘却の薄い膜で覆われているかのように。

私は読み返すたび西瓜糖の国のとりこになって、なかなか抜け出せないでいます。

西瓜糖の世界の「朝時間」は、黄金色の太陽が輝く日。
本のお供には、メランコリックな小説に似合う、ビターなココアカプチーノはいかがですか。

Love, まっこリ〜ナ

 

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小説から絵本まで、編集者が選ぶ”朝読書”におすすめの1冊
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まっこリ〜ナ

編集者・ライター

出版社勤務を経てフリーランスに。図鑑や写真集、子どもの本や雑誌などの編集に携わる。本がくれる愛のチカラを糧に生きる日々。いちばん好きな本の主人公は長くつ下のピッピ。
趣味は草花園芸、編み物、ランニング、スポーツ観戦。

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