今日のカフェボンボンは、アメリカの詩的幻想小説『西瓜糖の日々』。
“西瓜糖の世界”に生きる人々の、奇妙な静けさに満ちた物語。1968年に出版され、当時の若者たちを熱狂させた、リチャード・ブローティガンの傑作です。
『西瓜糖の日々』
著者:リチャード・ブローティガン/訳:藤本和子
出版社:河出書房新社
小屋も窓も橋も、何もかもが西瓜糖でできている世界。ランタンを灯す油さえも。
太陽は曜日ごとに違った色で輝き、西瓜畑の西瓜は赤や青、黄金色など7通りの色を持つ。恋人のドレスが西瓜糖の甘い香りを放つ。
ここの中心は、ヒッピーのコミューンのような「アイデス」。一方、荒くれ者が住む〈忘れられた世界〉は、暴力の気配が充満する場所。忘れられた世界の不穏な空気が次第に高まり、平和なアイデスを巻き込んでいく……。
アイデスの完全さはどこかいびつで、7色の太陽の光もひんやりと冷たい。恋人たちの愛にも熱の高まりは感じられない。あきらめと忘却の薄い膜で覆われているかのように。
私は読み返すたび西瓜糖の国のとりこになって、なかなか抜け出せないでいます。
西瓜糖の世界の「朝時間」は、黄金色の太陽が輝く日。
本のお供には、メランコリックな小説に似合う、ビターなココアカプチーノはいかがですか。
Love, まっこリ〜ナ