今日のカフェボンボンは、『パパの電話を待ちながら』。
イタリアを代表する作家・ジャンニ・ロダーリが自由自在に紡ぎ出す、至福のショートショート作品集です。
『パパの電話を待ちながら』
著者:ジャンニ・ロダーリ/訳:内田洋子
出版社:講談社
ロダーリの読書体験を何かに例えるなら……。透明で深い海を珍しい魚に出会いながら泳ぐような楽しさ!
子どもたちも王様も、地球を軽やかに飛び出して、どこまでも飛んでいってしまう。マリオネットさえも自由を求めて人形劇団を大脱走しちゃいます。海のとりこになった女の子は、海の底で貝の中に入り、バールのウエイター見習いは、お盆にビールをのせたままジャングルや金星に降り立つ。
それでもみんな平然として、何食わぬ顔で突拍子もない状況を受け入れるんです。じつにタフ。イタリア人の陽気さやバイタリティの秘密にふれた気がします。
物語の設定は、イタリア全土を旅して回るセールスマンの「ビアンキさん」が、毎晩幼い娘に電話をかけてお話を聞かせたというもの。子ども向けといっても甘いところはちっともなくて、揺らぐことのない信念に貫かれています。
本書の「朝時間」は、ルートをはずれて草原を走るトロリーバス。
バスから降りた乗客は、マーガレットの花を摘んだり、サッカーを始めたり、プレゼントのような楽しいひとときを過ごします。この本が読者にもたらしてくれるのも、そんな至福の時間です。本のお供には、アーモンドを砂糖でくるんだイタリアのお菓子、コンフェッティをいかがですか。
原書はイタリアのロングセラー。ブルーノ・ムナーリの装丁がとっても素敵。
『Favole al Telefono』
著者:Gianni Rodari/絵:Bruno Munari
出版社:Einaudi Ragazzi
Love, まっこリ〜ナ