BLOG

遊び心いっぱい、イタリアの奇想天外な本

 

今日のカフェボンボンは、『パパの電話を待ちながら』

イタリアを代表する作家・ジャンニ・ロダーリが自由自在に紡ぎ出す、至福のショートショート作品集です。

20121108

パパの電話を待ちながら
著者:ジャンニ・ロダーリ/訳:内田洋子
出版社:講談社

ロダーリの読書体験を何かに例えるなら……。透明で深い海を珍しい魚に出会いながら泳ぐような楽しさ!

子どもたちも王様も、地球を軽やかに飛び出して、どこまでも飛んでいってしまう。マリオネットさえも自由を求めて人形劇団を大脱走しちゃいます。海のとりこになった女の子は、海の底で貝の中に入り、バールのウエイター見習いは、お盆にビールをのせたままジャングルや金星に降り立つ。

それでもみんな平然として、何食わぬ顔で突拍子もない状況を受け入れるんです。じつにタフ。イタリア人の陽気さやバイタリティの秘密にふれた気がします。

物語の設定は、イタリア全土を旅して回るセールスマンの「ビアンキさん」が、毎晩幼い娘に電話をかけてお話を聞かせたというもの。子ども向けといっても甘いところはちっともなくて、揺らぐことのない信念に貫かれています。

本書の「朝時間」は、ルートをはずれて草原を走るトロリーバス。

バスから降りた乗客は、マーガレットの花を摘んだり、サッカーを始めたり、プレゼントのような楽しいひとときを過ごします。この本が読者にもたらしてくれるのも、そんな至福の時間です。本のお供には、アーモンドを砂糖でくるんだイタリアのお菓子、コンフェッティをいかがですか。

原書はイタリアのロングセラー。ブルーノ・ムナーリの装丁がとっても素敵。


20121108b

Favole al Telefono
著者:Gianni Rodari/絵:Bruno Munari
出版社:Einaudi Ragazzi

Love, まっこリ〜ナ

 

この記事を書いた人
Nice to meet you!

朝読書のすすめ『まっこリ~ナのCafe BonBon』

公式ブログ
小説から絵本まで、編集者が選ぶ”朝読書”におすすめの1冊
Written by

まっこリ〜ナ

編集者・ライター

出版社勤務を経てフリーランスに。図鑑や写真集、子どもの本や雑誌などの編集に携わる。本がくれる愛のチカラを糧に生きる日々。いちばん好きな本の主人公は長くつ下のピッピ。
趣味は草花園芸、編み物、ランニング、スポーツ観戦。

連載記事一覧

今日の朝の人気ランキング