今日のカフェボンボンは、珠玉の短編集『猫とともに去りぬ』。
イタリアの作家ロダーリの魔法の手が紡ぎ出した、このうえなくチャーミングな物語です。
『猫とともに去りぬ』
著者:ジャンニ・ロダーリ/訳:関口英子
出版社:光文社
表題作の「猫とともに去りぬ」はこんなふう。元駅長のアントニオ氏は、居場所のない家を出て、古代ローマ遺跡の広場の猫として暮らし始める。
「失礼ですが、アントニオさんじゃございませんこと?」とメス猫に話しかけられたと思ったら、広場のノラ猫のうち本物の猫は半分だけで、あとは人間業を辞めて猫になった人たちだとわかるの。裕福だった元判事さんも「猫おばさん」にサラミの皮やスパゲッティの残りをもらって満足してる。意外にもこの暮らし、なんとも快適そうなのが愉快です。
水没の危機にあるヴェネチアを魚になって救う一家、ピサの斜塔を頂戴するためにやってきた宇宙人など、思いもよらない行動に打って出る奇想天外な登場人物たち。イタリアが舞台ならではのストーリーにたちまち魅了されます。
この本独特のワクワク感は、洒脱なイタリア人のおじいさんのほら話を、自分が子どもになって夢中で聞いているように思えるところからくるみたい。
そうしたらやっぱり! 「猫とともに去りぬ」は、子どもたちに「もしおじいさんが猫になったら」という仮定で未完のお話を聞かせ、子どものやりとりを反映させて生まれたものなんですって。お話作りの名人・ロダーリさんの物語に、子どもたちの願いが込められているなんて素敵ですね。
イタリアからのファンタジックな贈り物をぜひお楽しみください!ショートショート作品集『パパの電話を待ちながら』もおすすめです。
Love, まっこリ〜ナ