今朝のカフェボンボンは、珠玉のメルヘン『ひぐれのラッパ』。
夢と現実の境界を描く、安房直子の傑作童話集。
秋の日曜日の読書には、郷愁を誘う物語が似合います。
愛らしい刺繍の挿し絵とともにお楽しみください。
『ひぐれのラッパ』
著者:安房直子/絵:MICAO
出版社:福音館書店
“ひぐれのラッパ”は、おとうふ屋さんが鳴らすラッパのこと。
幼い頃のこと。もめん一丁くださいと言うと、おとうふ屋さんは大きな手でとうふをつるんとボールに入れてくれた。夕暮れ時にだんだんと近づいてくるラッパの音は、子ども心にも少しもの悲しい。もうすぐ楽しい夕食やテレビが待っているのだけれど……。
「ひぐれのラッパ」のなかで、子どもたちがこう言う場面があるんです。
「草の上にねころがって、ラッパを聞くの、だーいすきです」
「そうすると、夕焼け空が、くらんとまわるんです」
何かの拍子に、見慣れた景色が違って見える瞬間がありませんか? ここにもそんな風景が広がっていて、小さなねずみや子ぎつねが、夢の世界の入り口へあなたをそっと手招きます。
猫やうさぎたちが言葉を話すのがちっとも不思議じゃないような、それでいて足もとがふわふわするような7つの物語。現実と幻想の境界を行き来できる気がしてきます。国語の教科書の『きつねの窓』を懐かしく思い出す方もいるかもしれませんね。
本書の「朝時間」は、のら猫が招待状を届けてきた日曜日の朝。「猫の結婚式」での出来事です。本のお供には、おとぎ話にぴったりのクレーム・ブリュレはいかがでしょう。
Love, まっこリ〜ナ