安房直子さんの物語はいろんな気配を運んでくる。季節が変わる気配、小さな動物の動く気配。太陽の光がぱあっと差して、春風がほおをなでるのを感じます。
『くまの楽器店』
作:安房直子/絵:こみねゆら
出版社:小学館
野原の真ん中の大きなニレの木の下にあるくまの楽器店。「ふしぎや」とかかれた看板が目印です。この小さなお店にあるのはふつうの楽器じゃない、とても不思議な楽器なんです。くまがどんな楽器をお客さんに選んであげるのかは読んでからのお楽しみ……。
こみねゆらさんの淡くやさしい絵が、洗練された物語によく似合う。緑のベレー帽のくまも独特なスタイルだし、店内の楽器のひとつひとつが素敵な力を秘めていそう。
机の上のタンバリンや小さな鈴。アコーディオンや木琴も懐かしいなあ。きれいなブルーのメトロノームもほしい!
楽器店のくまの「朝時間」は、野原に響くカスタネットの音。リズミカルな音に合わせて、大きなくるみの実が落ちてきます。
大太鼓をどーんとたたいたら、野原のずっと遠くまで聞こえるでしょうか。
Love, まっこリ〜ナ