今日のカフェボンボンは、安房直子の名作『風のローラースケート』。
峠の茶屋を舞台にした、山の住人たちの物語です。
『風のローラースケート』
作:安房直子/画:小沢良吉
出版社:福音館書店
日の暮れがどんどん早くなるとさびしくて、誰かに会いに駆け出していきたくなる。落ち葉がカサカサ舞い落ちる日暮れ時の道は、子どもたちは下校したあと、道を横切るのはノラ猫くらい。あとは、宅配便のお兄さん。
安房直子さんの物語には、幻想的な“ひぐれ”がよく描かれる。春の日暮れ、川のほとりでたぬきが洗濯をしている。何を洗っているのと尋ねると、ごらんのとおりのテーブルかけですって。
晩秋の夕方、かごをぶら下げたいのししに山道で出会う。声をかけると、みそ買いに行くんです。今夜はふろふき大根のゆうべですからね。
現実と幻のあわいで、人と動物が不思議な出会いをする。たそがれ時だけ、夢の世界の入り口を行き来できるのかもしれない。
もし、夕方、どこからかおうどんのいい匂いがしてきたら、それはきつねの天ぷらうどんです、きっと。
以前ご紹介した安房直子さんの本。こちらもおすすめです。
*『ひぐれのラッパ』:刺繍の挿し絵とともに楽しむ童話集。
*『春の窓』:珠玉のメルヘン傑作集。
*『くまの楽器店』:くまの不思議な楽器店の絵本。
Love, まっこリ〜ナ