今日のカフェボンボンのおすすめは、オスカー・ワイルドの『幸福な王子』。
無償の愛を美しい文体で描いた不朽の名作です。素敵なカバー装画は、前回おすすめした南桂子さんの作品「花と鳥」です。
『幸福な王子 ワイルド童話全集』
著者:オスカー・ワイルド/訳:西村孝次
出版社:新潮社
子ども向けの『幸福な王子』を読んでいた頃は、貴い愛の物語だなんて気づいてなかった。お話のあまりのもの悲しさに、なぜ“幸福な王子”というんだろう、と思っていました。
美しい王子の像は、友だちのつばめに頼んで、体じゅうの宝石や金ぱくを貧しい人たちに分け与え、最後にはぼろぼろの姿になってしまう。最も衝撃的なのは、王子が両目に輝くサファイアまでも、ためらいもなく差し出すくだりです。
南の国に渡ろうとしていたつばめは、目の見えなくなった王子のもとに留まる決意をします。死を怖れぬ王子の自己犠牲。冬が来て雪が降っても、王子のそばを離れないつばめの無償の愛。文豪オスカー・ワイルドが甘美に描いた究極の愛のかたちです。
「幸福な王子」の「朝時間」は、仲間の待つエジプトを思うつばめの夢。
つばめがたどり着くことのなかった異国の地は、どこまでもエキゾチックで幻想的です。
Love, まっこリ〜ナ
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