秋の気配が近づき、家族や友人と囲む食卓がますます楽しくなる季節。毎日欠かさず使う「お箸」ですが、意外と正式なマナーを知らず、自己流で済ませている方も多いのではないでしょうか?
実は、お箸を横に置く動作や「返し箸」がNGな理由、箸置きの正しい使い方などには、日本ならではの意味や心遣いが込められています。
今回は、マナー講師 林慶子さんの連載の中から、知っておきたい「お箸まわりのマナー」を3つご紹介します。普段の食卓はもちろん、外食や会食の場でも役立ちますよ♪
【1】「お箸を横に置く理由」〜感謝と結界のしるし〜
「いただきます」「ごちそうさま」という言葉と一緒に欠かせないのが、お箸を横に置く所作。実はここに、日本ならではの深い意味があります。

林さんによると、お箸は“神聖な食べ物”と“人間”をつなぐ橋の役割を持ち、同時に結界のしるしでもあるのだとか。
食べる前に箸を横に置いて結界をつくり、「いただきます」と声をかけてから結界を解き、箸で食事をいただく。そして「ごちそうさま」でまた横に置く…この流れこそが、感謝と敬意を込めた食事のスタイル。
普段何気なくしている動作も、その背景を知ると一層ありがたく感じられます。お箸のマナーを通して、先人が大切にしてきた“自然や命への敬意”を思い出せるのは素敵ですね。
(参考:感謝する気持ちを大切に。「お箸」を横に置く理由とは)
【2】取り分けで迷わない!「返し箸」がNGな理由と正解
ホームパーティーや会食で大皿料理を前に、つい自分の箸をひっくり返して使っていませんか?実は“返し箸(逆さ箸)”はNGマナーとされています。

その理由は3つあります。
- 【1】文化面:最も格式の高い祝箸は両端が細く、片方は人、もう片方は神様が使うという“神人共食”の考えが由来。箸を逆さにするのはその意味に反します。
- 【2】衛生面:手で触れている上部を料理に付けるのは不衛生。
- 【3】見た目:汚れた先が目に触れて美しくありません。
正解は“取り箸を使う”こと。「反対側を使えばOK」というのは、実は誤解です。飲食店で取り箸が用意されていないときは、お店の方に一声かけてお願いしましょう。
お箸は、命をいただく食事を口へ運ぶ大切な道具。だからこそ、衛生面や文化的な理由からも返し箸は避けるのが正解です。
お箸づかいは、相手への敬意や思いやりを伝える小さな所作。集いの場こそ、心地よく食事を楽しみたいですね。
(参考:うっかりやってない?「返し箸(逆さ箸)」を止めた方がいい理由3つ)
【3】「箸置きの基本」小さな所作に宿る心遣い
なくても困らないように見える「箸置き」ですが、実は“丁寧な食事”を象徴するアイテムです。
箸置きは、神様に食べ物を供える際に箸先を清浄に保つために使われたのが始まり。現代では衛生面や見た目の美しさにつながります。

使うときは、口に触れる先端を少し外に出して置くのが正解。箸置きがないときは小皿やお盆の縁を代用すればOKです。
また、食器の上に橋のように置く「渡し箸」は縁起が悪いとされるので避けるようにしましょう。
小さな動作ですが、心遣いが感じられる所作は食卓をより心地よくしてくれますよ。
(参考:その置き方、大丈夫?今さら聞けない「箸置きの基本」)

どうするのが正解?割り箸に巻かれた「箸帯」の外し方マナー
おはようございます。好印象マナー講師の林慶子です。マナーや心の在り方を知って好印象な自分になる!すぐに実践できるコラムを、毎週火曜日にお届けしています。今週のテーマ:「箸…
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知っておきたい「お箸まわりのマナー」をご紹介しました。
毎日使うお箸だからこそ、上品に、そして印象よく扱えると素敵ですね。正しいマナーを身につけて、食卓の時間をより豊かで楽しいひとときにしてみませんか?

