ドキュメンタリー映画「いのちの林檎」を観に行ってきました。
無農薬リンゴを青森で作っている農業家、木村秋則さんが出演するという映画でした。
木村さんの本はいくつか読みましたが、ご本人がどのようにお話なさるのか、
どのようにリンゴを愛でているのか、実際に観てみたいと思ったからでした。
しかし、この映画は、木村さんのドキュメンタリー映画ではありませんでした。
木村さんが出演するのは約1/4ほど。
実際には化学物質過敏症の方々の実態を知ってもらうためのドキュメンタリーでした。
それでも、木村さんが話は、方々にスピリチュアルなスピリットが広がって感動的なものでした。
さて、化学物質過敏症の方々の安心した暮らしを求める旅と、木村さんの話は、
それぞれが奥深く、ストーリーとして興味深いので、
別々の映画に仕上げた方が、良かったのではというのが正直な感想です。
そして、木村さんはもともとオープンなお気持ちがある方なので、
いろいろ語ってくれていますが、せっかくご家族を映し出しているのに、
コメントが1つも取れていないのはちょっと物足りなかったです。
「いのちの林檎」のHPを観ると、いかにも木村さんがたくさん出演しそうな打ち出しなのに、
映画本編では期待とは違いました。
しかし、個人的には、最近、病気の勉強もしていることもあり、
化学物質過敏症の方々の実態を知ることができたのは勉強になりました。
現代の日常生活の中に、住居アスベストをはじめ、食品添加物、排気ガス…と
いかに化学物質が充満しているかは、百も承知ですが、
過敏症で苦しむ方が、どのような方向に向かって進んでいるのかを伺い知ることができました。
そして、行き着いた先が、山でのテント生活。
昔ながらの原始的な生活(江戸時代あたりでしょうか)に光を見いだしているのは、
人間は、いくつかの点で戻る時代に来ているのだなと思いました。
現代と昔の境界にある落としどころを、それぞれの立場で見つけて行かなければならないと思います。
また、
・自然療法を取り入れている立場としての疑問は、
このような症状の方々の、腎臓・肝臓の機能はどのような状態かということ。
無農薬農業では土地に溜まった肥毒を、雑草を使って外に排出すると映画内で捉えていた通り、
人間も自然の一部だと考えるのなら、人の体に溜まった科学物質も排毒する必要があると思いました。
アーユルヴェーダでも、日本の食養生でも、排毒は自然療法の要です。
・ヨガ療法でサポートできるかもしれない立場からの疑問としては、
物質に反応するとき、交感神経と副交感神経はどのように変化するかということ。
発症のメカニズムと、単なるアレルギー反応か否かという辺りが知りたいです。
・社会的な疑問としては、化学物質過敏症に適応された処置がどれほどあるのかということ。
労災で認められないケース、学校で勉強不足の教師に理解されないケースがあるので、
これまでどれくらい事例があるのか知りたいです。
ぼちぼちリサーチしてみようと思っています。
あと、もし社会を離れてコミュニティを作って暮らして行く未来になった場合、
次世代が生まれたとき、遺伝子レベルでの発症、習慣的な遺伝による発症をどのように捉えて育てるか、
どのように社会と折り合いをつけていくかという問題についても、
議論をしていかなければならないと思います。
映画の後に、監督とプロデューサーのトークショーがあるとかで、
じっくり話でもしたいところだぜ、と思っていました。
しかし、台風の悪天候により、本日はキャンセルとのこと。
なんだよー、それー、そんな気持ちでドキュメンタリーを撮れるのか。
傘一本折れたのに台風のなか、映画の木村秋則さんに会いに行ったこちらの方が、
よっぽどジャーナリスト根性あるぜと、自画自賛。