朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。
今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、『女生徒』。
作家・太宰治が女性の心理を鮮やかに、赤裸々に描いた短編集。繊細でロマンチックな女の子の心を描いた「女生徒」をはじめ、「燈籠」「きりぎりす」「恥」など14篇を収録しています。
『女生徒』
著者:太宰治
出版社:KADOKAWA
年下の学生に恋をした女、夫に愛想を尽かした妻。告白をはじめた女性たちのことばから、さまざまな愛のかたちが浮かび上がってきます。
なにより物悲しさを感じる告白は「おさん」。情死した夫を引き取りにいく妻が想いを語ります。行き場を失った愛があまりにもやるせないのです。
14篇のなかで私がとくに好きなのは、新婚の女性が夫へのせつない気持ちを語る「皮膚と心」。今年結婚したばかりで、まだまだぎこちないふたり。本当は無邪気に可愛く甘えたい。夫もそれを待っているとわかってる。妻は告白します。「心は慕っているのに、逆にかえって私は、まじめに、冷たい返事などしてしまって、するとあの人は、気むずかしく、私には、そのお気持ちがわかっているだけに、尚のこと、どぎまぎして、すっかり他人行儀になってしまいます。」
ときどき夫がほめてくれると「胸が、一ぱいになって、せつなく、泣きたくなります。」——。ある日、女性の乳房の下に吹き出物ができたとき、夫は薬を買ってきてだまって塗ってくれるのです。恥ずかしくてうれしい。そんな甘やかな気持ちにドキドキします。
女ごころにしびれる一冊をぜひどうぞ。
ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ
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