おはようございます。料理家のまきあやこです。
この連載『本と映画と朝ごはん。』では、朝におすすめの本や映画、そして、一緒に楽しみたい簡単朝ごはんレシピをお届けしています。
今月は、ノラ・ジョーンズ主演・ウォン・カーワイ監督の映画『マイ・ブルーベリーナイツ』をご紹介します。
秋めいた朝におすすめ!ノラ・ジョーンズ主演映画『マイ・ブルーベリー・ナイツ』
この間まで、あんなに暑くて、一体今年は秋がやって来るんだろうか、と、思ったりしていましたが。秋、本格的にやってきましたね。
私にとって秋になると聴きたくなる音楽と言えば、「ノラ・ジョーンズ」。
少し肌寒い秋のはじまりみたいな朝、ノラの声を聞くと、あたたかい飲み物をゆっくりと味わった時のように、じんわりと身体が芯があたたまっていくような気がします。
というわけで、今朝はノラ・ジョーンズが女優として主演したウォン・カーワイ作品『マイ・ブルーベリーナイツ』をご紹介。少し久しぶりに見返したら、秋にぴったりな、小さなおとぎ話のような素敵な作品でした。
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舞台はNY。ジュード・ロウ演じるジェレミーが営むのは、ロシア語で「鍵」という名前のカフェ。ある日、急に連絡のつかなくなった彼氏を探しに、ノラ・ジョーンズ演じるエリザベスがそのカフェにやって来ます。しかし、そこで彼女は自らの失恋を知ることに…。
次に彼がその店に来た時に渡してもらえるよう、彼の家の合鍵をジェレミーのお店に託したエリザベスは、彼がその鍵をピックアップに来たか気になって、毎晩のようにカフェに通い始める…というストーリー。
NYが舞台の映画なのですが、ジェレミーはイギリスのマンチェスターの出身、という設定。ジュード・ロウの話すイギリス英語が最高にカッコいいのですが。
いつか、ジェレミーとエリザベスが一緒に朝ごはんを食べることがあったら、きっとこんな朝ごはんになるんじゃないかな…と思う「イングリッシュ・ブレックファスト」を、今日は、この映画を観ながら食べたい朝ごはんとしてご紹介しますね。
目玉焼きに焼きトマト、ベーコン…秋に似合う「イングリッシュ・ブレックファスト」
ジェレミーがエリザベスのために作るなら、きっと故郷のイングリッシュ・ブレックファストなんじゃないかな、と思います。目玉焼き、焼いたベーコンにマッシュルーム、ソーセージや、定番のベイクドビーンズ、などなど。
イギリスでは薄くてカリカリのトーストを添えるけれど、NYだからきっと、パンはベーグルなんじゃないかな。もちろん、クリームチーズとブルーベリージャムを添えて。
目玉焼きやソーセージを作る時にフライパンで一緒に作ることができるのに、意外に日本に浸透していないメニューが「焼きトマト」です。
<材料>
- トマト(今回はミディトマトを使用)お好みの量
- オリーブオイル 大さじ1程度
- 塩 適量
<作り方>
フライパンにオリーブオイルをひき、火をつけ、半分に切ったトマトの面を下にして、少し焦げ目がつくまで焼いたら、ひっくり返し、反対側を少し焼いて、塩をしたら完成。
お好みでドライハーブや粉チーズをふりかけても◎
ベーコンやソーセージを同じフライパンで同時に焼くと、そのおいしい脂がトマトにもまわって、よりおいしく作ることができます。
ぜひ、ベーコンエッグを作ったり、ソーセージを焼くフライパンの片隅でトマトを焼いてみてください。甘くトロッとして、身体が冷える秋の朝にも、即席のソースのように目玉焼きやベーコン・ソーセージを引き立ててくれますよ。
そして、ジェレミーとイングリッシュ・ブレックファーストに敬意を評して(笑)、飲み物はぜひミルクティーをお勧めします。
最後に。
香港を舞台にした映画が印象的なウォン・カーワイですが、テラテラとした光と独特な色彩感覚は、ニューヨークやアメリカが舞台の本作でも健在で、彼の目を通してみる、アジア以外の街、というのも、この映像作品の魅力の大きな一つだな、と思います。
一つの恋を完全に終わらせるのは、他人が思っているよりも、そして本人が思っているよりも、誰にとっても大変だよね、というのをこの映画を見ていると思い出します。
そんなところも、なんとなく秋の空気にぴったりくる作品。
映画のキービジュアルになっている、カフェのカウンターを挟んだ二人のやりとりは、何度観ても、そして幾つになっても、ドキドキとする素敵なシーンだな、と思いました。
ぜひ、秋の、お時間のある朝のお供に、「イングリッシュ・ブレックファスト」とともにご覧ください。
☆この連載は<毎月1回第4金曜日>に更新します。次回、11月の記事もどうぞお楽しみに…!