おはようございます。料理家のまきあやこです。
この連載『本と映画と朝ごはん。』では、朝におすすめの本や映画、そして、一緒に楽しみたい簡単朝ごはんレシピをお届けしています。
2019年の1月からスタートしたこの連載、今回が最終回になります。記事を読んでくださった皆さん、ありがとうございました!
連載の最後にご紹介するのは、吉本ばなな著『キッチン』と、一緒に食べたい朝ごはんです。
自立って?人生って?何度も読みたい小説『キッチン』
『私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思う。』という書き出しの有名な一文。この本をはじめて手に中学生の頃の私も、それから、何十年も経った今の私も、ずっと惹きつけられて止まない一文です。
祖母と2人で暮らしていた大学生の主人公が、祖母の死によって、ちょっとおもしろい関係性の大学の同級生の男の子とそのお母さんの暮らすマンションに居候をすることになるところからはじまる物語。
居候をはじめるまでの期間、祖母と暮らした家のキッチンの床で寝る、というのが印象的なシーン。そういえば私もお料理の仕事を始めた駆け出しの頃、家が狭くて寝る場所がなく、一時期キッチンで寝ていた事がありました。その頃は、よく『キッチン』を地で行ってるなぁ、と思ったものでした。
「自律・自立」するってどういう事なんだろう、と考える本。そして、人生の「選べなさ」についてもいつも考えさせられる本です。未読の方も、ひさしぶりの方も、ぜひ手に取って見てほしい一冊です。
カツ丼をアレンジ!残り物で簡単「コロッケ丼」
さて、今回のレシピですが、『キッチン』といえば、なんといっても『カツ丼』。細部は忘れてしまっても、絶対に忘れることができないのがカツ丼のシーン。世界でいちばんおいしいカツ丼の描写だなぁ、と思っています。笑
朝ごはんに食べるなら、お惣菜の残り物のコロッケで作るとたのしいかな、と思って、今回はコロッケ丼のレシピをご紹介します。
<材料>
- コロッケ 1個
- 玉ねぎ 1/8〜1/4玉(新玉ねぎや、長ネギでも可)
- めんつゆ(3倍濃縮) 大さじ2
- 水 100cc
- 卵 1個
- ご飯 1膳
- 青のり お好みで
<作り方>
1. フライパンにめんつゆと水を入れて火をつけたら、細めのくし切りにした玉ねぎを入れて中火で煮る。
2. 玉ねぎに8割くらい火が通ったら、コロッケを入れて、溶き卵を回し入れる。卵に好きな加減まで火が通ったら、ご飯の上にのせて完成。お好みで青のりや、万能ネギ、三つ葉など。
甘いめんつゆをすって「じゅわっ」となったコロッケがおいしい丼。
揚げ物のお惣菜の残りならなんでも良いので、食べきれなかったカツ数切れとか、唐揚げ2個とか、メンチカツ半分、みたいなちょっとしたもので、朝ごはんの立派な丼になりますよ。
丼にしないで、卵とじ部分をおかずに、ご飯を食べるのもいいですね。
わたしのだいすきなキッチンと本棚からお届けした本連載、いかがでしたでしょうか?ほんのすこしでも、みなさんの朝の時間のたのしみになることができたら幸いです。
またどこかでお会いできますことをたのしみにしています。ありがとうございました!
(編集部より)本連載は、本記事が最終回となります。朝に読みたい本や、観たい映画を、簡単でおしゃれな朝ごはんレシピとともに紹介してくれたまきあやこさん、本当にありがとうございました!