おはようございます。料理家のまきあやこです。
この連載『本と映画と朝ごはん。』では、朝におすすめの本や映画、そして、一緒に楽しみたい簡単朝ごはんレシピをお届けします。
今月は映画「リトル・ミス・サンシャイン」をご紹介します。
しとしとと雨の降る梅雨時の、休日の朝に観ると、すっきりと晴れやかな気持ちになる映画です。
心が温まるロードムービー。映画「リトル・ミス・サンシャイン」
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田舎町に住む主人公の素朴な少女「オリーヴ」の家族は、個性派揃い。
勝ち組になるためのオリジナルのハウツーにこだわるお父さん、願掛けのために一言も喋らないお兄ちゃん、自由奔放なおじいちゃんに、その家族をなんとかまとめようとヘトヘトのお母さん、そして、そこに、失恋をして自殺未遂をしたお母さんのお兄ちゃんがやってくる辺りから物語は始まります。
オリーヴがずっと夢見ていた美少女コンテスト「ミスサンシャイン」出場のために、黄色のフォルクスワーゲンバスに家族のみんなで乗り込んで、カリフォルニアの会場へ向かうロードムービー。
お世辞にも「順風満帆」とは言えない家族たちが、素直で純粋にきらきらと夢に向かうオリーヴを守るために、少しずつ力を合わせながら進む、心温まる珍道中のお話です。
主人公が選んだ朝ごはんは「チョコアイス」
今回ご紹介する朝ごはんレシピは、私が大好きなシーンから妄想をして作りました。
朝ごはんをとるために立ち寄ったドライブインで、オリーヴが注文したのはワッフルとチョコレートアイスクリーム。けれどオリーヴのお父さんは、アイスは太ると言って、食べるのを控えさせようとします。
運ばれてきたアイスクリームに手をつけることができないオリーヴは、「みんなで食べて」とそのお皿を差し出します。
そこで残りの家族たちがめいめいに小さなスプーンを手に取って、「じゃあ少しもらおうかな?」「ほんとに美味しいなぁ」「オリーヴ本当に食べなくっていいの?」ととっても楽しそうに、おいしそうに、そのアイスを食べ始めるのです。
するとオリーヴが我慢できずに「やっぱり私も食べる!もうみんな食べちゃだめーっ!」とアイスを食べ始めます。その瞬間のみんなの幸せそうな安堵。
オリーヴのために、それまでバラバラだった大人たちが、一致団結して小さなお芝居をするシーンは、いつ観てもじんわりと心が温まります。
こういう、温かくて小さな幸せの記憶一つ一つが、人生を支えているのかなぁ、と考えたりする今日この頃。
というわけで今朝は、大人になったオリーヴが、ほんの少し落ち込んだ朝に、あの時のみんなの優しさを思い出して作るんじゃないかしら、と考えたチョコレートアイスクリームの朝ごはんをご紹介します。
すっきりアレンジで楽しむ「チョコアイス」モーニング
<材料>
- チョコアイス 1スクープ
- ギリシャヨーグルト 適量
- カットパイン 5〜6カット程度
- お砂糖かはちみつ 適量
- バジル 1〜2枚
- ミックスナッツ 適量 ざく切り
<作り方>
1) パインの味を見て、甘味が足りない場合にはお好みでお砂糖かはちみつを混ぜておく。
2) チョコアイスにヨーグルト、パイン、ちぎったバジル、ナッツなどをのせたら完成。
「大人になったオリーヴ」が食べるなら…ということで、甘いだけでなく、少しさっぱりと、バジルを入れてすっきりとしたアレンジにしました。バジルの他、もちろんミントなどのフレッシュハーブでも代わりになります。
朝ごはんに食べるチョコーレトアイスなら、このアレンジが最適。休日の朝なら少しラムを垂らしてもいいかもしれないですね!!
お皿に盛っても、シリアルを入れてパフェみたいに盛り込んでもたのしいですよ。
私がこの映画を好きなのは、「幸せ」って誰かの価値観では決められないものなんだなぁ、と新ためて思えるからかもしれません。
コンテストで優勝したり、多くの人に褒めてもらったり、評価してもらったり、そういうことはもちろんとっても嬉しいのだけれど、きっと本当の幸せは、誰かに決めてもらうことじゃなくって、その人がその人らしく笑えていることなんだよね、とオリーヴとその家族たちを見ながら思うのです。
キーを回したら、エンジンがかかるような人生なんてつまらないっ!!と爽快で、けれどじんわりと涙が出ちゃうようなエンディングを観終えると、しとしと雨の梅雨の日々も、なんだか晴れ晴れとした気持ちで過ごせるのです。
雨の降る朝に、ほんの少し気持ちが落ち込んだ朝にも、チョコアイスをおともにぜひぜひご覧ください。
☆この連載は<毎月1回第4金曜日>に更新します。次回、7月の記事もどうぞお楽しみに…!