小説『マチネの終わりに』を読みながら食べたい♪簡単「バゲット・オ・ショコラ」

 

おはようございます。料理家のまきあやこです。

この連載『本と映画と朝ごはん。』では、朝におすすめの本や映画、そして、一緒に楽しみたい簡単朝ごはんレシピをお届けしています。

小説『マチネの終わりに』を読みながら食べたい♪「バゲット・オ・ショコラ」レシピ

今月は、映画が公開されて話題になっている、原作である小説『マチネの終わりに』と、一緒に食べたい朝ごはんレシピをご紹介します。

人が惹かれ合う「運命」って?

マチネの終わりに
マチネの終わりに (文春文庫)

2006年から2012年の6年間に渡る、東京、長崎、パリ、イラク、ニューヨークを舞台にした二人の主人公「蒔野聡史」と「小峰洋子」の出会いと別れと再会のお話です。

描かれている年月が長く、舞台も多岐にわたり、さらに仕事や育った環境や人生にまつわる色々が盛り込まれた、少し厚みがある本なので、どんな風にご紹介すると良いのかな…と今回は少し悩んでいますが、2016年に読んだ小説の中でも特別心に残る作品だった一冊『マチネの終わりに』。今回改めてじっくりと読み直してみて、この作品の味わい深さに再びひたひたと浸りました。

だんだんと寒くなっていく季節、甘くてちょっと苦いチョコレートのお菓子のように、淹れたてのコーヒーとともに、毎日少しずつ朝に楽しむ…そんな朝読書にぴったりの作品だと思います。

物語は、クラシックギターの演奏家「蒔野」のコンサートに、パリの通信社に勤めるジャーナリストの「洋子」が訪れるところから始まります。

たった数時間、たった一晩だけの出会いから始まる物語は、人が惹かれ合う魔法みたいな瞬間を、その場の雑音や匂いや温度さえも感じられる様に生き生きと切り取って描かれていきます。

映画の中でも印象的な、二人の出会いの夜のシーン。蒔野が、洋子のうまく説明のできない気持ちを助けて、過去と未来についての関係を説明する場面があります。

「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでいる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えているんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。過去はそれくらい繊細で、感じやすいものじゃないですか?」

(本文からの抜粋)

本当の意味で「言葉が通じる」人と出会えることは、多分滅多になくて。だからこそそんな風に自分の気持ちを、ぴったりの言葉で表現してくれる人に出会った時に、人は「運命」みたいなものを感じるのかなもしれない…、そう思うワンシーンでした。

「誰かにわかってもらえている」という安心した気持ちは「その人のことが好きだ」っていうことと、多分そんなに遠くないんじゃないかしら?、と感じます。

今つらくても、未来には「大切な思い出」に

日々の中で、うまくいかなかったり、落ち込んだり、悲しくなったり、もう取り返しがつかない、と思うようなことが起こった時、自分や自分の人生を少し諦めたくなってしまうような時に、私はこの蒔野の科白を思い出します。

この今の気持ちを乗り越えて行けるのは、未来の自分だけだから。今はとっても落ち込んでしまっているけれど、とっても傷ついているけれど、未来に進んでいけば、きっと未来の自分が今のこの過去も、愛せる思い出に変えてくれるはず、と思わせてくれるような科白。

「今目の前にある困難も、もう少し長い視点で見てみよう、先に行ったら、また少し感じ方が変わってくるかもしれないから」そんな

気持ちになれるのが、私がこの本を手に取る理由なのかもしれないな、と今回改めて感じました。

最後の最後まで、わからないじゃない、っていう気持ちを残しておけるのは、ついつい結論を急いでしまいそうな時に、ほんの少し自分を救ってくれたりするものです。

小説『マチネの終わりに』を読みながら食べたい♪「バゲット・オ・ショコラ」レシピ

色々な出来事に翻弄されながら、進んで行く二人の人生に関しては、じっくりと本を読んで頂く楽しみにとっておいて。

今回は、洋子が長年暮らす街としても、蒔野が若い頃に学んだ街としても、そして二人が再会を果たす街としても、印象的に登場する「パリ」から妄想した朝ごはん「バゲット・オ・ショコラ」をご紹介します。

バゲットオショコラ

パンとショコラの組み合わせと言えば、クロワッサンの中にチョコの入った「パン・オ・ショコラ」が有名ですが、バゲットに板チョコとバターを挟んだだけのこの食べ方もフランスでは大定番だそう。

仕事の忙しい洋子が、朝にパパッと作って、エスプレッソと一緒に食べるんじゃないかな、と想像しました。

<材料>

  • バゲット 適量
  • バター 適量
  • 板チョコ 適量
  • お好みでラズベリージャムやマロンクリームなど

<作り方>

バゲットに切れ目を入れて、トースターで少し温めたら、切ったバターと板チョコを挟んで完成!

バターは少し奮発をして、フランスのおいしい発酵バターを使うと、パリ感が増す気がします。

ビターなチョコレートで作って、ラズベリーや今の季節ならマロンのクリームを合わせて食べるのがオススメです。

映画も話題♪小説『マチネの終わりに』を読みながら食べる「バゲット・オ・ショコラ」

私は、恋はほんの少しの時間でもすることができるものだけれど、愛は、長く時間をかけることでしか、それを証明できるものってないのかもしれないな、と考えているところ。

この本は、まさにそんな風に、長い時間をかけて愛を証明した物語だと思います。

人生って、若い頃に思っていたよりも、長くて、いろんなことが詰まっているんだな、と主人公二人が出会った頃の年齢に近い私は、最近考えていました。

本作は、出会ったり別れたりのスパンが壮大な気がするのですが、読み終えてみると、それも長い人生のほんの一部、という感じがします。

ページが終わった後の、2人の人生に想いを馳せてみるのも、この本の楽しみの一つ。(個人的には、映画が先で、小説が後の順番がおすすめです)

深まる秋のお供に、ぜひ皆さんも、バゲット・オ・ショコラとともに、『マチネの終わりに』を手に取ってみてください。

☆この連載は<毎月1回第4金曜日>に更新します。次回、12月の記事もどうぞお楽しみに…!

 

この記事を書いた人
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