今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、遠藤周作の『真昼の悪魔』。
大学の附属病院を舞台に、サイコパスな女医の心の闇をスリリングに描きます。無邪気な微笑に隠された女医の恐るべき本性とは……?
『真昼の悪魔』
著者:遠藤周作
出版社:新潮社
もし、お医者さんがサイコパスだったとしたら……。人の痛みを感じず、善悪の区別もつかないとしたら。もう想像するだけで、背中がゾクゾクしてしまう。
「悪って何かしら、何が悪なのかしら」主人公の女医はこう自問自答する。患者には「べっぴんのやさしい先生」と人気だけれど、それはあくまで表の顔。その裏では「いい女医のふり」をして無邪気を装う。人を意のままに操る自分にほくそえみながら、いやらしい罪を平然と重ねていくのです。
女医の罪悪感のなさ、冷酷さはまさにサイコパス。子どもまでそそのかす。他人がどうなろうと何も感じない。良心の呵責がないどころか、そもそも良心なんて最初からないというのが恐ろしい。彼女が罪を犯すのは、良心の呵責という痛みを感じたいがため。だからなおさら複雑なんですよね。
4人の女医のなかの誰が犯人なのか、悪事は明るみに出るのか、そしてなにより女医の虚ろな心が痛みを感じる日はくるのか。一気読み必至のサスペンスフルな小説。はかりしれない人の心の闇の深さに戦慄します。
Love, まっこリ〜ナ
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