今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、『眠る盃』。
いい匂いのする台所、白い割烹着のお母さん、にぎやかな茶の間の風景、夕暮れ時の買い物。向田邦子が日々の暮らしや思い出を綴った珠玉のエッセイ集です。
『新装版 眠る盃』
著者:向田邦子
出版社:講談社
向田邦子さんの随筆は、おいしい料理の匂いがする。大好物はみりん干し。子どもの頃、おばあさんが七輪で焼いてくれたのを茶の間で食べた。熱々のみりん干しの匂いが、食卓のガラスの醤油注ぎやお茶碗の模様の記憶までよびさます。
炊きたてのご飯の匂いとともによみがえるのは宿題のこと。朝ごはんのあたたかいお櫃の上で、べそをかきながら忘れていた宿題をした。台所に立ち込める匂いが、幼い頃の記憶とつながっている。買い物かごを抱えてみりん干しを買いに行くのはきまって夕暮れ時。そんな日々の暮らしは、切なくてあたたかい。
向田さんが飼い猫だけを連れて実家を出たのは、東京オリンピックの開会式の日のことでした。ある場所から偶然に、たいまつを掲げた選手が聖火台に火をともすのを見たという、印象的なエピソードも綴られています。ささやかな日常のよろこびと哀しみが心にせまるエッセイをぜひどうぞ。
Love, まっこリ〜ナ
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