朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。
今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、『精選女性随筆集 幸田文』。
文豪・幸田露伴の娘で『台所のおと』『おとうと』『流れる』などの作品で知られる幸田文の随筆集。作家の川上弘美が編んだアンソロジー、幸田文の魅力が詰まった一冊です。
『精選女性随筆集 幸田文』
著者:幸田文/編者:川上弘美
出版社:文藝春秋
「なんて面白い女のひとなんだろう」川上弘美さんのこの一文。本書を読み進めるにつれて心から共感する。
写真家との喧嘩の顛末を書いた「知らない顔」。どんなふうに撮ったとしても私自身で知っている顔なのだからおもしろくない。不機嫌だった著者は自分を撮りにきてくれた人に喧嘩をふっかけるように言う。相手も立腹、お互い売り言葉に買い言葉になってしまう。著者は写真家を送り出しながらもう後悔していた。「ひとに云われなくても、自分が傲慢ばばあめと云いたいのでした」。
そんなふうに強情で気の強い人が「男はいいもんだなあ、と思うのである」としみじみと書く「捨てた男のよさ」。自分が深く関わった男の人は数少ない。だからみんなくるめて、仕事で来る人も買い物先の店の人も電車の車掌さんも「どのひとも好もしく懐かしく、よく思われるのだ」。しかし著者は念のために云っておくという。「夫という特別の一人の男を、好もしくなく、いやだと云って離婚して出て来ちまった経歴をもつ女である」——。「男はいいもんだなあ」この言葉の奥にどんな思いが込められているのか知りたくてたまらなくなる。
随筆のほか、人生相談「なやんでいます」の答えも収録しています。秋の読書に幸田文の魅力あふれる一冊をぜひ。
ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ
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