先生/山岸理恵子(ライオン ヘルスケアマイスター)
—-からだの肌質についてライオンが調査したところ、20〜50代の女性は「どちらかといえば乾燥肌」と回答した人がもっとも多く、夏を除く3シーズンで乾燥している自覚があるという結果に。でも、残念ながら顔に比べると保湿ケアは万全ではないのが現状のようです。ボディソープの商品開発に約20年携わってきたライオンの山岸理恵子さんに、乾燥知らずのうるおいボディを手にいれる方法を伺いました。
乾燥肌が多いのは、顔に比べて皮脂腺が少ないから
顔の肌タイプは一般的に乾燥肌、オイリー肌、普通肌、混合肌、敏感肌の5つに分けて考えられていますが、からだは顔に比べると皮脂腺が少ないため乾燥肌が多く、オイリー肌や混合肌が少ないのです。特に少ないのは手足の末端部分で、手のひらや足の裏には皮脂腺がありません。皮脂腺が多いのは顔のTゾーン同様、からだの中心。だからひじ、ひざ、かかとはカサつきやすく、デコルテや背中はニキビができやすいのです。
からだの場合、乾燥する原因はもともと皮脂腺が少ないこと以外に、外気の乾燥や紫外線、洗いすぎ、過度なストレス、睡眠不足、栄養不足、衣類による刺激などが絡み合っていることが多いんですね。過度なストレスは自律神経や免疫力、ホルモン分泌に悪影響を与え、皮膚のバリア機能の低下につながりますし、睡眠不足はそれ自体がストレスになる。オイリー肌は、遺伝や体質で皮脂腺が多い人もいますが、乾燥と同じように過度なストレスや睡眠不足などで男性ホルモンが優位になり、皮脂分泌が過剰になっていることもあります。
ゴシゴシ洗わないことが簡単で効果的な乾燥対策
皮膚のバリア機能を低下させる要因はさまざまですが、中でも特に、からだの洗いすぎは要注意です。
入浴中は皮膚がふやけているので、硬めのタオルでゴシゴシこすれば、皮膚の表面は簡単に傷ついてしまいます。その結果、角質層で水分を保つ働きをする細胞間脂質やNMF(天然保湿因子)が流出し、バリア機能が低下するわけですが、それを数値で示したのが上のグラフです。
石けんベースのボディソープ(ライオン従来品)&硬めのタオルで洗った場合と、石けんベースのボディソープ(ライオン従来品)&手で洗った場合、さらにうるおいタイプのボディソープ&手で洗った場合、それぞれのお風呂上がりの肌から蒸発する水分量を測定してみると、うるおいタイプのボティソープを使って手で洗うと、肌のバリア機能が守られ、乾燥しにくくなることがわかりました。
オイリー肌だからといって、ゴシゴシ洗うのもNG。大人ニキビは乾燥によってターンオーバーが乱れ、皮脂の排出が上手くいかなくなることが原因の場合もあるので、皮脂を取りすぎるとかえって悪化することもあるのです。ボディソープは洗顔料ほど種類がありませんが、乾燥が気になる人は保湿タイプのものを選んでみてください。
うるおいタイプのボディソープをしっかり泡立てて、手でやさしく洗うのがベストな洗い方ですが、手では汚れが落ちないのでは? と思いますよね。そこで、泡の洗浄力を実験してみました。皮脂を赤く染め、泡を接触させたところを拡大したのが上の写真です。
きめ細かい泡を肌に乗せると、気泡と気泡の間に生じる圧力によって汚れは3つの気泡の境界に吸い込まれます。だから、きめ細かい泡を作ればやさしく洗っても汚れを落とすことができるのです。
顔を洗うときは、みなさん洗顔フォームできめ細かい泡を作っているのに、からだはゴシゴシ洗っている人が意外といるんですよね。それでもゴシゴシ洗わないと洗った気がしない人は、汗をかく夏はデコルテや背中だけ肌触りがソフトなボディタオルで洗い、それ以外は手で洗うというように、季節や肌状態に合わせて洗い方を変えてみる。肌と相談しながら、気持ちいいと思える洗い方をしてみてください。
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山岸理恵子
ライオン 快適生活研究所 副主席研究員 ヘルスケアマイスター。毛髪診断士、睡眠改善インストラクターの資格も有する。身体洗浄剤、スキンケア剤の研究・開発に約20年携わってきた知識と経験を活かし、健康や美容に役立つ情報を発信している。
取材・文/山崎潤子(ライター)
イラスト/はまだなぎさ
データ提供/ライオン
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