今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、『アイビー・ハウス』。
夫婦単位の同居生活。うまくいく? それとも危険をはらんでる? プライバシーはしっかり確保したうえでのシェアだからもめごともない。適度な頻度で夕食会や映画鑑賞会を催したりと楽しそう。でも……。
注目作家の原田ひ香が4人の心模様をたんねんに描き出します。
『アイビー・ハウス』
著者:原田ひ香
出版社:講談社
蔦の絡まる一軒家の2階と3階に各夫婦が暮らす。大ざっぱに言えば、派手な夫婦と地味な夫婦の組み合わせ。これだけで何かが起きそうな予感がする。
でもじつは4人は気心の知れた仲。同居生活は5年間うまくいっていた。このまま続いていくはずだった。ある日突然、見知らぬ女が訪ねてくるまでは。
この出来事のせいで4人の関係に影が差し、やがて黒いしみのように広がっていく。私たち、幸せだったよね? 信頼し合って生きていくんじゃなかったの?
4人がお互いをどう見ているのかが浮き彫りになる。これが怖い。自分でも認めたくないような真実が見えてくるから。心に疑いや不安が芽生えるのは、「素敵な暮らし」に疲れていたからなのかもしれない。相手夫婦への違和感や小さな不満は、もうずっと前から心に巣食っていたのかもしれない。
巧みな心理描写に引き込まれて、読むのを止められません。もし、どちらかの夫婦と共同生活をするとしたら。そんなことを考えつつ読むとなお面白いです。
Love, まっこリ〜ナ
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