今日のカフェボンボンの本棚は、『水やりはいつも深夜だけど』。
ママ友に怯えるセレブママや子育てに参加できず肩身の狭い夫。作家・窪美澄が一見幸せそうに見える家庭の生々しい現実を描き出す。胸に迫る連作集です。
『水やりはいつも深夜だけど』
著者:窪美澄
出版社:KADOKAWA/角川書店
なんかすごいよねぇ。芸能人みたい。セレブママのブログを見て幼稚園のママ友たちが声を上げる。ブログにつづるのは子育ても料理もインテリアも完璧な暮らしぶり。コメント欄には賞賛の声が日々届く。
見た目は幸せな主婦、憧れのセレブママ。でも、好かれているのは嘘を重ねたブログの私。冷蔵庫の中は空、いつもぐったりと疲れ、周囲の値踏みの視線に怯えている。だから私は息抜きをする……。
花にちなんだタイトルの5つの物語は、高級住宅地の幼稚園に通う子どもたちで緩やかにつながっている。夫婦のすれ違い、我が子への苛立ち、よその家庭への嫉妬。園のママたちの前では絶対に表さない苦悩や葛藤があぶり出されていく。
感情があふれそうになったなら、そのまま決壊させてしまえばいい。甘い甘いココアを飲んで干した布団の干し草のようなにおいを吸い込んで。そしてまた前を向いて歩いていければいい——。
さまざまな愛のかたちを描いた物語。せつなさに心揺さぶられる一冊をぜひ。
Love, まっこリ〜ナ
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