今日のカフェボンボンは、『幻影の書』。
アメリカの人気作家ポール・オースターの長編小説。オースターの最高傑作ともいわれる作品です。
はじまりは今にも初雪が降ろうかという日の夜だった。彼の人生に「幻影」が入り込んできたのは……。
『幻影の書』
著者:ポール・オースター/訳:柴田元幸
出版社:新潮社
大きな悲劇に見舞われ生きる気力を失った主人公が、ある古い喜劇映画を見て死の淵から救われる。
映画の主役は、南米出身のコメディアン俳優ヘクター・マン。サイレント映画時代に映画監督、俳優として一連の作品を残したヘクターは、突然失踪、消息不明のまま死んだと思われていた。
しかし、主人公が謎に包まれたヘクターの足跡をたどるうち、主人公とヘクターの運命が交錯する日がやってくる……。
物語の中に、ヘクターの魅力的な映画が入れ子のように盛り込まれ、ヘクター自身の驚くべき生涯が徐々に明らかになる。ハンサムな風貌、映画への情熱、女たちへの愛と悲しみ。物語の面白さは、人を魅了してやまないヘクターその人に尽きる。
ミステリアスで驚くべき展開をみせるストーリーは、ポール・オースターの真骨頂。ドラマチックな物語こそ小説の醍醐味だと感じさせる一冊です。
今年のカフェボンボンのキーワードは「旅」。「幻影」を探し求める旅の物語をどうぞ。
Love, まっこリ〜ナ