今日のカフェボンボンの本棚は、『漁港の肉子ちゃん』。
西加奈子が北国の港町を舞台に母娘を描く心を揺さぶる物語。何度も男にだまされた過去もなんのその、底抜けに明るい肉子ちゃんに出会ったらきっと元気になれる。心のなかの息苦しさもトゲトゲもゆっくりと溶けていきます。
『漁港の肉子ちゃん』
著者:西加奈子
出版社:幻冬舎
漁港の焼肉屋の看板娘として元気に働く肉子ちゃんと、その娘・キクりんは地元の人気者。「一番大きなマトリョーシカ」みたいに太った肉子ちゃんは、港の女神のような存在なのだ。
小学生のキクりんは天真爛漫すぎる肉子ちゃんが危なっかしくてしかたがない。こんな過酷な人生を背負うとは前世で何をしたのかと悩む。そんな娘の心配をよそに母は今日もあるがまま。やがて港町に夏がきて母娘にも変化が訪れる……。
運動会の借り物競争に出場した肉子ちゃんが全力で走るシーンがいい。真っ赤な頰を揺らして、張り切りすぎて、必死で。肉子ちゃんの無垢な魂がまわりのみんなを明るく照らし出す。
阿呆と言われても屈託なく笑って「でも、まあ、命はあるんやし!」。肉子ちゃんのこの言葉、心のど真ん中に届きます。
Love, まっこリ〜ナ
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