(この物語は…毎朝のヨガ習慣をはじめてから108日目を迎えた、ヨガが好きなOL 紗季に、久々に起こる、恋と仕事の変化。朝のヨガスタジオで巻き起こる男女のハートフルなラブストーリー。小説のストーリーに合わせ、毎週おすすめヨガポーズをご紹介します。
Week 7は、再び、主人公紗季の元恋人である真司の視点でストーリーが展開します!)
Vol.44 Week 7 「世界で一番大切にしたいひとは?」 (2)ニューヨークで得るもの
紗季と優斗は仲良くやっているらしい。
しおりの報告は、特に大げさでもなく、2人が上手くやっていることをにおわせる。彼女からの情報でしか、2人のことを知ることもない。だから、それが嘘であれ、嘘でなかれ、僕はそれを信じることしかできない。
NYへ戻って1週間。いきなり、しおりがNYに来ると言う。びっくりしたが、歓迎した。紗季を忘れるチャンスは逃したくない。
僕は、NYのとっておきスポットを案内し、楽しい時間を過ごした。しおりのことも徐々に愛おしく思えるようになってきて、時間はあっという間に過ぎた。
「ニューヨークにもこんなにリーズナブルで美味しいステーキハウスがあるんですね」
「学生のときに一度来たときのお店は、ビーサンみたいで、噛み切れなくて。美味しくなかった。こんなのを食べてるひとたちには敵わないよなあと思ったんですよ」
「僕も最初そう思った。探せば繊細なものも、大胆なものも、とくかく自信満々に存在しているのがニューヨークなんだよね」
「真治さんは、ずっとニューヨークにいたいんですか?」
「いや、日本に帰りたいよ。ここも大好きだけど、挑戦する街だから。挑戦する期間が終わったら、日本でしっかり地に足をつけたいかな」
「挑戦・・・」
「わたしの人生にはそのワードはなかったです。紗季さんみたいに、仕事できちんと結果を出そうとかもなくて、最初から一般職でしたし。
正直言って、多少の給料があがったって、その大変さを考えたら、いまくらいが一番良いな、バランス的には勝ち組じゃん、正解だったなって思ってました。
実際紗季さんがボロボロになって余裕なくしている姿いっぱいみました」
「女性が総合職で働くことって、想像以上に大変なことなんだろうな」
「いい塩梅、みたいなのが好きで、女子って。だからいま、ここにいることが、人生史上1番の挑戦」
しおりの気持ちがとても嬉しく、そして反面僕は受け止めきれないと思った。
「でも、重く受け止めないでください。わたしの経験値が足りてないだけで。いまこういう話をするのも、マイナスって分かってるんです。でも、どうしていいか分からないから、素直にすることが一番誠実なんじゃないかと思うんです」
嬉しいほどに、辛くなる。
(つづく)
今週のおすすめヨガ「すきのポーズ」
Week 7のおすすめは「すきのポーズ」。
上半身の柔軟性を高めるだけでなく、内臓や神経にも刺激を与える万能のポーズ。ヨガのフローの終盤で取り入れることが多いポーズです。脊柱に刺激を与えます。
「すきのポーズ」の流れ
- 仰向けになり、背中をゆかにぴったりつけて、両足を胴体に近づける。
- 腰を持ち上げ、足を頭上に運び、床に足先を落とす。腰があがるように手でサポートする。
- サポートしている手をはずし、床にぴったりとつける。
(この小説は毎朝4時更新です。続きはまた明日!)
★この物語の登場人物
新城紗季(しんじょうさき/30歳)プロダクトブランド販売会社のマーケティング部につとめる。この物語の主人公。
アレクサンドル・ハミルトン(アレックス)(38歳)フランス系アメリカ人。ヨガスタジオを経営。
相場優斗(あいばゆうと/38歳)外資系投資銀行の行員。
桜井真治(さくらいしんじ/35歳)紗季と同じ会社でニューヨーク店勤務。紗季の元恋人。
東谷しおり(ひがしやしおり/25歳)ヨガ仲間のひとりで、紗季の会社の事務系OL。