(この物語は…毎朝のヨガ習慣をはじめてから108日目を迎えた、ヨガが好きなOL 紗季に、久々に起こる、恋と仕事の変化。朝のヨガスタジオで巻き起こる男女のハートフルなラブストーリー。小説のストーリーに合わせ、毎週おすすめヨガポーズをご紹介します。
Week 4は、ふたたび主人公である紗季の視点でストーリーが展開します!)
Vol.24 Week 4 「朝ごはんでデートを」 (3)始まりの関係性は、変えられない?
真治は、終電で帰るという。わたしは、駅まで送るために、母に車を借りた。
「ねぇ、真治」
「なに?紗季」
何十分か2人とも言葉を発していなかったから、真治は少し期待感のある目でわたしを見た。その目は、嬉しいような、退けたいような複雑な気持ちにさせる。そして、わたしの名前を発する声は、穏やかで優しかった。
わたしは急に、左折してブレーキを踏んだ。
そうして、雪が全面に広がる丘に、真治を連れて行った。
「中学生とか高校生の頃さ、ドラマでさ、こういう場所で、恋人と話できるのを憧れてた。
あの頃はまだ、携帯ももっているひとと持っていないひとがいたり、圏外が多かったり?ちょっとのことですれ違いになったり、会えなかったりするんだよね」
「ああ、よくあるシーンかもな、なんだっけキムタクの・・・ラブジェネ?ロンバケ?どっちがどっちだっけ?」
2人は笑い合えた。
「いまはもう、それこそ、ニューヨークにいたって連絡がとれる。奇跡みたいなこともあんまり起きなくなっちゃったよね」
「真治に連絡しようと思えばいつだってできたし、真治だって、わたしに連絡しようと思えばいつでもできた。
それで、2年も月日が流れた。お互いに事情があったにせよ。
それが答えだよね。
It’s too late.ってこと」
高校生の頃からのわたしのお気に入り、キャロル・キングの調べだ。
西海岸の音だったけど、ニューヨークにも合うと思って、2人でいるときも聞いた曲。アルバムの3曲目で、2曲目のSo Far Awayからのイントロが最高だった。
あのとき、恋人が去っていくことなんて考えもしなかったからか。その後アルバムを聞いていなかったけど、聴いていたら癒されたのだろうか。
「はっきり、2年経ったんだって分かった。
その間、わたしも真治も言い訳しながら、自分ひとりで生きていこうとして、そうしてここまで来れたんだと思う。いい別れ方をしたんだって、認めてあげようよ」
真治とわたしは、出会った頃から、わたしが追いかける立場だった。
いつしかそれが当たり前だ。いまのいまは、逆転しているかもしれないけれど、また復縁でもしたら、私がまた追うことになる。それにきっともう耐えられない。
どうしたら、ずっと追われるような魅力的な女性になれるのだろうか。
2人の関係性は変われないのだろうか。
(つづく)
今週のおすすめヨガ「さかなのポーズ」
Week 4のおすすめは「さかなのポーズ」。
胸を開き、頭皮を刺激するポーズで、固くなりがちな背中を動かし、胸を開くことで呼吸がとても楽になるでしょう。冬の間は、頭皮も乾燥したり、うつむき癖でひっぱられたり、酷使しています。
明日に向かう活力をもらえるポーズです。
「さかなのポーズ」の流れ
- 足を腰幅に開き、全身の重みを床に素直に落とします。
- 手を組み、お尻の下におきます。同時に肩も背中の下にしまうイメージで、内側に入れます。
- 胸を天井からつられているイメージで、引っ張り上げます。最後に頭頂部を床につけ静止。
(この小説は毎朝4時更新です。続きはまた明日!)
★この物語の登場人物
新城紗季(しんじょうさき/30歳)プロダクトブランド販売会社のマーケティング部につとめる。この物語の主人公。
アレクサンドル・ハミルトン(アレックス)(38歳)フランス系アメリカ人。ヨガスタジオを経営。
相場優斗(あいばゆうと/38歳)外資系投資銀行の行員。
桜井真治(さくらいしんじ/35歳)紗季と同じ会社でニューヨーク店勤務。紗季の元恋人。
東谷しおり(ひがしやしおり/25歳)ヨガ仲間のひとりで、紗季の会社の事務系OL。