【朝の恋愛小説:あしたの朝、ヨガスタジオで。Vol.8】Week 2(1)ごめん、ごめん、一旦ごめん!?

 

(この物語は…毎朝のヨガ習慣をはじめてから108日目を迎えた、ヨガが好きなOL 紗季に、久々に起こる、恋と仕事の変化。朝のヨガスタジオで巻き起こる男女のハートフルなラブストーリー。小説のストーリーに合わせ、毎週おすすめヨガポーズをご紹介します。

Week 2は、主人公である紗季のヨガ仲間であり、同じ会社の事務系OLしおり視点でストーリーが展開します!)

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Vol.8 Week 2 「いつも彼女を好きな人を好きになる」 (1)ごめん、ごめん、一旦ごめん!?

わたしは25歳、プロダクトブランドの製造販売会社のマーケティング部に勤務のOL。部つきの秘書っていう役回り。

定時過ぎ、外はもう真っ暗だ。もうすぐ、クリスマス。

小さい頃から、勉強嫌い。でも、要領よく生きてきたみたいで、人生それほど苦労したことはない。

会社の先輩で、5歳年上の紗季さんみたいに頭脳明晰じゃないし、容姿はそこそこだけど、超がつくほどの美人でもない。

でも、ずっと彼氏もいたし、仕事もそこそこ上手くやってるし、これからも周りに甘えながら、上手くやっていくのである!人生なんてむしろ、“そこそこ”よりちょっといいくらいが楽しくて、男の人のウケだっていいと思う。

紗季さんには憧れるけど、仕事に必死になればなるほど、プライベートが充実していない。

「がんばればいいってもんじゃないよね、家族や後輩に八つ当たりして、ほんとかわいくない、じぶん」

紗季さんのつぶやきを聞いたとき、わたしは少し優越感に浸った。仕事もプライベートもそつなく、バランスよく楽しむのが正解だと。

アレックスのことが好きだ!と言い切れるほど盛り上がってはいないけど、いま一番近くにいるときめくひとは、アレックス。

そのアレックスと紗季さんには何かある。だから、紗季さんのことを、最近特に意識して、ついつい見てしまう。仕事ができるかっこいい女性が、弱さを見せた時、男のひとは守ってあげたくなるのだろうか。

エレベータホールでニューヨークの店舗から一時帰国している桜井さんと紗季さんが話をしている。

桜井さんの背中を見送る紗季さんの表情と態度はいつものゆとりがなくて焦っていた。わたしには、絶対に見せない表情。

「紗季さーん」

「あ、しおり!お疲れさま、お先失礼するね」

「帰っちゃうんですかあ」

「ちょっと、彼氏じゃないんだから、わたしは。もう定時すぎたよ、しおりも早く終わりなね。じゃ、あした朝、ヨガスタジオで」

はじめて紗季さんに反抗したくなった。絶対いつも通りじゃないのに、一瞬でいつも通りの平常心に戻す。自分が甘くみられているような気がして。

わたしはオフィスを振り返る。

「桜井さん、東谷しおりと申します。今日からよろしくお願いします。この会社では、セクレタリという肩書きですが、部付きの総務職のようなものです。総務的なことは、何なりとお申し付けくださいね」

「・・・それから、わたし、紗季さんとは公私ともに仲がいいんです!」

桜井さんを観察していたけど、表情ひとつ変えなかった。

「東谷さん、こちらこそよろしく」

つまらない挨拶。

自席についていたわたしが振り返ると、桜井さんがわたしをじっと見つめてくる。

あの、えっと、それはそれで、困るんですけど———。目線を反らすと呼び止められた。

「東谷さん」

一旦、心臓がとまりそうになった。

「気にしているみたいだけど、紗季と僕は何もないから。さっきもエレベータホールで見てたでしょ。つまらなくて、ごめんごめん、一旦ごめーん」

笑ってる桜井さんをよそに、わたしは、完全に思考停止した。

(つづく)

今週のおすすめヨガ「木のポーズ」

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Week 2のおすすめ「木のポーズ」はヨガの代表的なポーズ。

片脚を軸足にしてバランスをとります。しっかり地面を足裏で感じ、上半身と下半身を繋げることで、自分の身体を安定させます。最初はぐらつきますが、集中しようとするだけで自律神経のバランスがとれてくると言います。

心がざわついているとき、一本足で立ってみようとすることが、身体をととのえ、神経をととのえ、良い決断ができるかも。みぞおちの部分に手を当ててみるのもいいです。前に進むためのチャクラがそこにあります。

「木のポーズ」の流れ

  1. 両足に均等に体重をかけ、頭頂部までまっすぐ伸びるイメージで立つ。
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  2. 右足の裏を、左足の付け根につけ、胸の前で合掌。この時、骨盤が左側にずれてしまわないように注意。どうしてもぐらついてしまう方は、付け根でなくても大丈夫!(けが防止のため膝以外にセット)
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  3. 息を吸いながら、胸の前の手を天井まで回し持っていき、両手を重ねます。目線も両手先の方を見つめます。この時、首をつめてしまわないように注意しましょう。
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  4. 息を吐きながら、両手を広げます。小指をご自身の方へ内転させてみましょう。肩が開き、胸が開いてきます。ここで呼吸を整えます。3呼吸ほどキープしたら、ゆっくり手足を元に戻し、反対側も同様に行いましょう。
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(この小説は毎朝4時更新です。続きはまた明日!)

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★この物語の登場人物
新城紗季(しんじょうさき/30歳)プロダクトブランド販売会社のマーケティング部につとめる。この物語の主人公。
アレクサンドル・ハミルトン(アレックス)(38歳)フランス系アメリカ人。ヨガスタジオを経営。
相場優斗(あいばゆうと/38歳)外資系投資銀行の行員。
桜井真治(さくらいしんじ/35歳)紗季と同じ会社でニューヨーク店勤務。紗季の元恋人。
東谷しおり(ひがしやしおり/25歳)ヨガ仲間のひとりで、紗季の会社の事務系OL。

 

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朝の小説シリーズ

毎朝読みたい小説シリーズ「やっぱり朝は、二度寝が好き。(完)」「シンデレラの朝ごはん(完)」
Written by

石垣モンブラン

幼少期から創作好きで、3歳児で替え歌発表(笑)、小学時代に学習発表会の脚本、絵本を制作、中学から新体操やダンスの振付をはじめる。現在は、小中学生のミュージカル劇団「リトル・ミュージカル」主宰。台詞をこどもたち全員で創るという他にはないミュージカルの脚本原案、作詞作曲、振付を担当。だけど大人の恋愛模様が大好き。ライトノベルや映像脚本も執筆し続ける。

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