今日のカフェボンボンの本棚は、『風は君に属するか』。
恋のときめきと痛みにあふれた詩集です。
『詩集 風は君に属するか』
著者:銀色夏生
出版社:角川書店
銀色夏生の詩のことばは甘いの?それとも苦い?ビターチョコレートの味がする時もあるし、熱々のショコラショーみたいにとろける時もある。それは読む人の心によってクルクル変わる。ひとつだけ確かなのは、この感情を知ってるってこと。恋をしたことのある人なら誰だって、14歳でも80歳でも。私がもし中学生の頃に読んだなら、きっと鞄に入れていた。
飛ぶように駆ける君
君のまわりの疾風が草原を歪ませる
風は 君に 属するか
それとも 野に属するか
いつか好きだった人はこの詩の「君」のようだった。この詩を読むと胸のなかがくすぐったくて、鼻の奥がつんとなる。
バツグンに明るい君
星のような
砂の中の
水晶みたいな君
これは「退屈レモン」の一節。銀色夏生が「君」と呼びかける時、君のまわりの風景が燃え立つように輝く。こんな男の子に恋してるなら切なくて、していならもっと切ない。
この詩集に見つけた「朝時間」は、「途中で僕ら」より。
遠くに青い海が見えたら
途中で僕ら 席を立とう
Love, まっこリ〜ナ
*朝読書のすすめ『まっこリ~ナのCafe BonBon』連載一覧はこちらです。
https://asajikan.jp/author/14/