今日のカフェボンボンは、『武蔵野夫人』。
緑濃い武蔵野の旧家を舞台に恋愛と欲望を描く心理小説。作家・大岡昇平の代表作のひとつです。
『武蔵野夫人』
著者:大岡昇平
出版社:新潮社
「昼ドラマ顔負け ドロドロ夫婦劇!」なんてすごい文句の帯につられて、再読しました。
ヒロインの道子は、心優しく貞淑な人妻。フランス語教師の夫との平穏な生活に満ち足りていた。道子の従弟・勉がビルマから復員するまでは。
若い勉は美しい従姉に強く魅かれ、道子も初めての恋を知る。恋を知らずに結婚した道子が自分の心を知ったとき、最初に感じた衝動はそれを抑えることだった。武蔵野ののどかな日々は終わりを告げ、ふたりを取り巻く人々の欲望やエゴがあぶり出されていく。
たしかに「ドロドロ」の泥沼。時代背景と閉鎖的な環境が、息苦しさに拍車をかける。「ああ、もどかしい!」と思えば「そんな大胆なことを!?」と、やきもきしながら読みました。
それにしても「武蔵野夫人」という言葉は、どこかエロティック。武蔵野のむせ返るような緑と道子の清らかさとが相まって、よけいに官能的な匂いがします。
Love, まっこリ〜ナ
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