今日のカフェボンボンは、松本清張の『事故』。
かなーり濃いめのブラックな一冊です。市原悦子さん主演の大人気ドラマ「家政婦は見た!」第1回の原作『熱い空気』を収録しています。
『事故』
著者:松本清張
出版社:文藝春秋
「家政婦は見た!」シリーズは再放送のたびによく見るけれど、市原悦子さんが派遣先の大金持ちの主人や奥さんにズケズケものを言うのが小気味よくたまらない。このシリーズの原点となったのが、松本清張の異色作『熱い空気』です。昨年、米倉涼子さん主演で再ドラマ化され、話題になりましたね。
家政婦の信子は32歳という設定。結婚に破れた中年女というひと言で片づけられている。松本清張氏の小説ではよくある表現かもしれませんが、じつに身もふたもない。まだ32歳なのに……。
そんな信子の派遣先は、大学教授の主人と妻、3人の子どもたち、主人の母親が同居する家庭。奥さまは虚栄心が強く、旦那さまはいつもむっつり。家族の心はバラバラですぐにも一波乱ありそうな気配が漂う。そして、とんでもない家庭の秘密が信子によってあぶり出されていく。
面白いのは信子が前に働いたことのある家には興味がないところ。他人の家庭を次から次にのぞいてみて、その家の不幸を新しく発見することこそが彼女の密かな愉しみであって、すでに知ってしまった家の不幸には新鮮さを感じないのです。
読み出したら止まらない面白さ。表題作の『事故』も予想もつかない意外な展開に引き込まれます。一気読み必至の一冊です!!
Love, まっこリ〜ナ