今日のカフェボンボンは、仏ミステリ界の女王が放つ傑作『裏返しの男』。
アルプスの山村を舞台にした人間味あふれるミステリ。パリ第五区警察署長アダムスベルグシリーズ、『青チョークの男』に続く待望の第2弾です。
『裏返しの男』
著者:フレッド・ヴァルガス/訳:田中千春
出版社:東京創元社
アルプスの山村で無惨な羊の死体が次々に見つかった。のどに残された巨大な歯形に怯える村人たち。怪物のような狼は存在するのか。それとも狼男のしわざなのか。ある変わり者の男を狼男だと主張した女牧場主が殺され、状況は一気に緊迫していきます。
村に暮らす美女カミーユと、その恋人でグリズリー研究家のカナダ人も事件に巻き込まれます。カミーユのかつての恋人、アダムスベルグ警視も現地にやってきます。事件が混沌の様相を呈するなか、カミーユは牧場主の息子と老羊飼いと一緒に事件を追う旅に出るはめになり……。
この三人の旅のくだりが本書の見どころ。強烈な臭いのする家畜運搬車で山道を行く旅はまるでロードムービーのよう。殺人鬼の追跡という目的とは裏腹に、のんきでオフビートな旅なのです。予測不可能な展開もさることながら、エキセントリックな登場人物たちが何より魅力的です。
表紙カバーの狼の絵はおどろおどろしいですが、謎解き、恋愛、旅の要素をたっぷり含んだ人間味あふれる物語。ゆったりした休日の読書はもちろん、通勤時間の読書にもおすすめのミステリです!
素敵な日曜日を。
Love, まっこリ〜ナ